相撲部屋の稽古に一度だけ行ったが、不運にも見られなかった私が再度稽古に行ってみた part1 葛藤

初めての相撲部屋見学から2日。
ご存知の通り、結局その日は見学そのものは出来なかったのだが
見学の一般的ルールをある程度学習したことから
もう次は大丈夫という状態になった。
平日休みの後の土曜休み。
そして、7時到着を見越しての5時起床。
日勤夜勤サイクルを繰り返す者にとっては
未知の起床時間である。
残念なことに遠足の前の日は寝付けないタイプの人間なので
積算睡眠時間が3時間程度という、
「あーオレ、今日全然寝てないんだよ」自慢状態で
実質初めての相撲見学に行く羽目になったのである。


そんなわけで南武線・田園都市線を乗り継ぎ、
2日ぶりの清澄白河に到着する私。
あの日の朝同様、清澄白河は温かな気候で私を出迎えてくれる。
あれほど歩き回った清澄2丁目である。
前も話した通り目を瞑るまではいかないが、
近くの風景さえ分かればどこに居るかは
理解できる状態である。
例のデニーズを右折し、相撲部屋の区画に入る。
さぁ、稽古が私を待っている。そんなことを考えていると
「クーリスマッスーがこっとしーもやーってくるー」
という季節外れの竹内まりや節が何故か脳内を反芻するが、
特に意味は無いので、足早に北の湖部屋を目指す。
最短距離で到着する。
一度の経験は強いものだ。
あれほどオドオドしていた2日前の私とは違う。
そんな風に思いながら、北の湖部屋の前に辿り着く。
だが…
ドアは固く閉ざされている。
右肩上さんが言っていたように、チャイムを鳴らせばいい。
一心龍さんが教えてくれたように、そのまま入ってもいい。
分かっている。
分かっているのだが、何故か手が伸びない。
もしかしたら間違っているかもしれないし、
誰も出ないかもしれない。
そういう理由づけも有るのだが、要するに畏れ多いのである。
私にとって力士とは絶対的な尊敬の対象である。
貴乃花親方のことを厳しく言ったことも有るし、
大露羅さんのことについて
「覚せい剤の誘惑には勝つが、食欲には負け続ける」
などと面白おかしく語ったことも有る。
だが、あくまでもそれは、敬意という下敷きが有ってのことである。
気になるあの子に電話しようとして、
あとは「発信」ボタンを押すだけなのに、
その手前でフリーズしたまま数分待機してしまった
若き日の如く、私は結局直前の交差点まで戻り
意味も無くヤフーニュースを携帯で見ていた。
とはいえ、このままヤフーニュースで
ニューヨークヤンキースの動向を見ていても何も始まらない。
心拍数が怒られている時並みの状態になっている自分を感じつつ
どうにかまた北の湖部屋に戻る。
ドアの前に辿り着く。
チャイムを押すか押さないかは、
10メートルプールの台の上から飛び降りる・降りないの
選択をしている時のようである。
あとはもう、度胸である。
考えるより先に、行動する。
私はチャイムを押した。
すると、声が聞こえる。
だが、何を言っているか分からない。
とりあえず稽古の見学希望である旨を伝える。
だが、相変わらず声がこもっていて、何を言っているかわからない。
困る私。どうすればいいのか。
「kfはおいwgwghう、あ、見学の方ですね。」
聞こえた。
一番大事な部分が聞こえた。
とりあえず良かった。
恰幅の良い私服姿のマネージャーと思しき方に
招き入れられ、私は北の湖部屋に潜入した。
続く。

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