世間に寄り添わぬ相撲協会は、要らない。

期待は殆どしていなかった。
ここまでを見れば、彼らは信頼に値しないからだ。
だが、彼らはその道を選択した。
誰がどう見ても、批判しかされない道を。

相撲協会には、貴乃花親方を処分する上で大きく分けて3つの選択肢が有ると私は思っていた。

一つ目は、非常に処分を軽くすること。
貴乃花親方と共に信頼回復に向けて歩き出すという選択である。

二つ目は、非常に重い処分を下すこと。
ただし、これには条件がある。そう。
八角理事長にも同時に重い処分を下すことである。

私はどちらでも良いと思っていた。ここまで問題がこじれてしまった以上、重要なのは処分が貴乃花親方が犯したことに見合っているか否かではない。世間が納得するか否か、なのである。

貴乃花親方は、被害者である貴ノ岩の師匠だ。
そしてその被害というのも、相当なものだ。

問題が長期化したのは貴乃花親方が早期解決に向けて非協力的だったことが非常に大きな理由だ。一方でそのような行動を取らざるを得なかったというロジックに正当性が見られるほど、今回の騒動に於ける相撲協会の対応は粗末としか言いようが無いものだった。

貴乃花の行動は批判されるべきだ。
しかし、一方的に非難されるような状況ではない。
だからこそ三つ目の選択肢では困るのだ。

そしてご存知の通り、彼らが取った選択は貴乃花親方2階級降格という、一方的に重い処分を受けるというものだったのである。

貴乃花を権力から遠ざけること、そして報復することにどれだけの意味があるのか。彼は所詮、2年前の理事長選でほぼ得票を得られなかった存在だ。知名度はあるし、発信力もある。だが、権力からはまだ遠い。

その上、この処分では次の理事選で貴乃花親方は戻ってきてしまうのである。重い処分は下しているが、その処分に中長期的な意味は殆ど無い。ただ徒らに重い処分を下しているだけなのである。

そして、世間は相撲に冷ややかな眼差しを送る。
それこそが、最大の問題である。

相撲界の論理を世間が理解するほど、大相撲は今リスペクトされていない。これが巨人・大鵬・卵焼きの時代ならばええじゃないかで終わっていたのかもしれない。事実、元横綱の逮捕や横綱による拳銃の密輸入が有っても、大相撲としての体質や品格という次元で批判を受けることは無かった。

今は、違う。

思えば貴乃花の整体師騒動の辺りからだろうか。大相撲自体がちょっと小馬鹿にされるようになったのは。そして数年前の一連の不祥事が決定打だった。

一つの不祥事を大相撲全体の問題として捉えられるからこそ、相撲協会は常に世間の感覚に寄り添い、世間が納得する論理で、世間が納得する処分を下さねばならなかった。何故なら、相撲を見ているのは世間だからである。

報告を怠った白鵬と鶴竜は減給。
伊勢ヶ濱親方は理事を辞任。
貴乃花親方は2階級降格。
そして八角親方は、自主返納。
どうやってこの決定に納得すれば良いのだろうか。

そしてこの決定で、一体誰が得をしたのだろうか。強いて言うなら、哀れな被害者ではあるのだが権力には早い段階で戻る可能性を残した貴乃花親方だと私は思う。一番損をしたのは、当然相撲協会である。

私は大相撲を愛している。
だが、相撲協会は心の底から嫌いだ。

八角理事長は一体何がしたいのだろうか。再三話していることだが、この2年弱で彼が取った目に見える行動は、国技館からピザバスと入り口すぐの売店を撤去し、入り待ちエリアにコーンを置いたことくらいだ。

怪我をした力士に対するケアも、何も動いていない。増えすぎる巡業についても、何も変わっていない。新弟子が増えないことについては、三段目格付け出しデビューが出来たくらいで、抜本的な対策は着手していない。

聞こえてくるのは「土俵の充実」という、実体の無い言葉だけだ。だが力士達は大型化と過密日程で疲弊し、次々と壊れ、本来の相撲が取れなくなってきている。頑丈さが売りの白鵬と稀勢の里まで壊れてきている始末だ。

顕在化した問題は動いていない。
潜在的な問題にも着手する様子も無い。
だが、不祥事が起きても責任を取らない。
それどころか、貴乃花親方に責任を押し付けている。

平時の理事長ならば良かったのかもしれない。北の湖路線を継続し、人気回復を盤石のものにすれば良かったのだから。この点に関しては、2年近くうまくいっていたように思う。

だが何かが起きた時こそ、リーダーの資質が問われる。

八角部屋は素晴らしい部屋だ。稽古を見ればそれがよく分かる。そして、親方に求心力があることは先場所の隠岐の海と北勝富士の奮闘からも伺い知ることが出来る。

だが、それとこれとは話が別だ。

残念だが、有事の際に適切な処置が出来ないリーダーであることを、八角理事長は露呈してしまった。この騒動を収められなかった責任は、少なくとも報告を怠り、騒動を長期化させたことと同程度、いや、それ以上のものであると私は思う。

八角理事長よ、決断を。

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