規格外の若手外国人力士不在という、不祥事以上の危機を考える。

これはもしかすると、不祥事以上に大相撲の危機かもしれない。
今場所の幕下を見ながら、私はそう思った。

かつて私が幕下を見始めたとき、凄い勢いで幕下を突破する力士が居た。印象深いのは、碧山だ。気がつくと彼は幕内でも可能性を見せていた。

将来、こんな力士が大関や横綱になるのではないか。

ただ番付を駆け上がるだけではない。幕下で彼らは明らかに違ったのだ。相撲が完成されている訳ではないが、荒削りな状態で寄せ付けないのだから尚更驚いた。結局碧山はそうはならなかったが、上位はそういう存在だった力士で固められているように思う。

こういう力士が居るのだから、幕下って面白い。
幕下には大相撲の将来がある。
私はそんな風に感じていた。

最近は、少し違うのだ。

元関取が増え、大卒で幕下を突破できない力士や、大怪我をしてから戻ってきたら実力者が揃っていて一進一退を繰り返す力士もいる。叩き上げでギリギリのところにいるのだが、イマイチ決め手に欠ける力士もいる。

彼らを倒すことは容易ではない。
あの頃の幕下ではないのである。

一方で、気になるのが冒頭の異変だ。

幕下は確かに強くなっている。だが、外国人力士がインパクトを残せていないのである。

今の幕下で注目しているのは、霧馬山と朝日龍だ。モンゴル人らしい速さと粘りで、幕下下位までであれば驚くような勝ち方が出来るのだが、最近彼らは幕下中位から上位で勝ったり負けたりを繰り返している。

良い力士だが、突き抜けない。
荒削りではあるが、規格外とまではいかない。
そして彼らは、21歳と22歳だ。
そこまで若くない。

恐らく彼らは幕内までは上がるだろう。だが、大関や横綱という期待を抱かせるところまでは至っていない。大相撲の将来を託すような存在とまではいかないのが実情である。そして問題は、幕下以下で一番可能性を見せているのがこの2人だということだ。

十両以上を探しても、外国人力士の中でそのような存在が果たしているだろうか。変わりつつある逸ノ城に可能性があるくらいで、かつての白鵬や日馬富士のような底知れなさがある力士は見当たらない。

そして昨年記事にしたのだが、どうやらモンゴル人の若者は、もうあまり相撲を目指さないようなのだ。中学生以下の相撲の大会である白鵬杯で、モンゴル人が勝てなくなってきているのはショックだった。決勝トーナメントにさえ進めないのである。

今の幕下以下にも、若い世代でも、次代を担える外国人が見当たらない。更に間の悪いことに、一連の騒動が起きている。果たして外国人の立場でこのようなスポーツを誰が目指すというのだろうか。

小錦以降、大相撲を支えてきたのは外国人だ。
だが今、その流れが危機に瀕していると私は思う。

一連の不祥事で、大相撲という狭い世界の常識が糾弾され、世間から見放されようとしている。だが目線を上げれば外国でも信頼を失い、大相撲の明日を作る人材をも失うという恐ろしい未来さえそこまで来ているのである。

外国からの信頼回復のためにも、大相撲は不祥事に真摯に向き合わねばならない。幕下の厳しさに面白さを感じながら、私はそう思うのだった。

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規格外の若手外国人力士不在という、不祥事以上の危機を考える。” に対して 2 件のコメントがあります

  1. 確かに、言われてみれば今の幕下は面白くないですね。

    で、外国人力士の件でいえば一つの理由として、過去に不祥事対策で採られたルールの副作用がいま出てきているように思います。具体的には、今は「外国人はひと部屋1名に限る」という規制がありますが、それが既に当初の目的を終えて、副作用だけを残しているように思うのです。

    (ちょっとここ10年くらい記憶力が低下していて詳細を覚えていないのですが、この規制って、露鵬・白露山兄弟の大麻問題がきっかけでしたっけ?)

    たとえば、友綱親方(元旭天鵬)がNHKでも語っているのですが、彼がモンゴルに帰ると、息子さんを入門させたい親御さんが何人も訪ねてくるのに対し、今は規制があって受け入れられないからと全て断っている、と嘆いています。

    数字を見ると、相撲部屋の数が今たしか45で、力士の総数は700人くらいです。その45名の枠もほぼ満員に近いので、誰かが引退しない限り新しい人は入ってこられません。日本人力士が幕内に上がるのと、外国人の力士志望者がどこかの部屋に入門するのとが(単純計算とはいえ)同レベルのハードルでは、さすがに志望者も減るでしょう。

    なので、多少の規制緩和を考えるべきだと思います。とはいえ、いきなり無制限というわけにもいかないでしょうから、たとえばこんな案が考えられると思います。

    ①一定の品格(←という言葉しか出てこないのが難しいところ)を認められた力士は外国人枠に数えない。たとえば、幕内連続2場所を経験した外国人力士がいる場合には、さらにもうひとり外国人を入門させてよい。

    ②大学や社会人で一定の経験を積んだ入門者は外国人枠に数えない。この場合、当座は幕下付け出し・三段目付け出しに限るというのも一案。

    ③兄弟など血縁者は2名に限り同じ部屋に同時に在籍可とする。ただしこの場合、規制の発端となった問題の再発防止のため、外部者の査察を定期的に受ける。査察に入るのは「別の部屋の親方+外部有識者」のセットにする。所掌は生活指導部?

    ※①~③いずれの場合も、ひと部屋あたりの外国人力士の総数に当面は一定の上限を残す。最初は「①~③を総動員しても最大3名」からスタートするのが順当か。

  2. shin2 より:

    >>1992年、小錦・曙らの躍進を機に、師匠会の申し合わせで、現役の外国人力士を総数40人以内におさめることが定められた。その後数年はどの部屋も外国人力士の採用を自粛してきたが、1998年から再開され、モンゴル人力士らが隆盛する。そして2002年、先の40人という枠を撤廃するいっぽう、外国人力士は1部屋1人までと制限する方針に変更。当時相撲部屋は54部屋なので、54人が上限となった。
    >>2008年の露鵬らの大麻問題や、2010年1月の引退まで朝青龍が起こし続けたような騒動の再発防止という必要もあって、同年2月23日に理事会は先の制限を、帰化者含む「外国出身力士」を1部屋1人までに制限するものへ強化することを決定した。
    >>https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%9B%E5%A3%AB
     (「外国人力士・人数制限」参照)
    2018年現在、日本に帰化した外国人力士も「外国人は1部屋1人」枠に入れる=日本人として扱わない、ことになってます。

    「規格外の若手外国人力士不在」の最大の理由は、単に外国人枠が一杯になってしまったためじゃないかと思われます。
    水戸龍とか、入門時から「なんで錦戸部屋なんかに」と言われ、錦戸親方のおかみさんまでSNSで叩きまくられた記憶があります。外見に似合わない(失礼)繊細な水戸龍が傷ついたであろうことが想像できます。外国人力士は入門時からハンデを背負わされます。
    個人的には「日本に帰化した外国人」「日本の高校・大学を卒業した外国人」は「準日本人」(なんかイヤな言葉だけど「仮称」ということで、ご容赦ください)として、外国人枠とは別に数名認める、という形がいいのでは、と思います。
    日本人が越える必要のないハードルを越えて大相撲に入門したい若者を、門前払いするのは残酷です。

    「規格外」と言っても、入門時にはわからないケースがあります。むしろそっちのほうが多いのではないでしょうか。
    横綱白鵬は入門時体重60㎏台、初めて番附に載った場所、序ノ口で3勝4敗と負け越しています。そもそも入門できる相撲部屋が見つからなくて、宮城野部屋に拾われた形での入門だったはずです。
    いずれ日本人の人口が減って、大相撲の新弟子不足が深刻になる時代が来たら、なし崩しに外国人に関するルールも変わっていくものと思われます。

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