栃ノ心の優勝が大相撲にとって重い意味を持つ二つの理由。前編

下位ではめっぽう強い。
上位だと大敗する。

そういう意味では、同じヨーロッパ系の阿覧や臥牙丸によく似ている印象だった。フィジカルが強く、怪力でねじ伏せる相撲を取る一方で、横綱や大関には波乱を起こせない。とにかくもどかしい力士。それが栃ノ心だった。

栃ノ心が数年前に怪我をした時、なんとなく戻ってくるとは思っていた。若いし、何よりも怪力相撲があれば下位ではそうそう負けない。苦しいリハビリではあるが、耐えれば必ず元の地位に戻ってくる。

私の予想は、大きく外れた。
栃ノ心は遥かに強くなって戻って来たからだ。

怪物逸ノ城と共に白星を並べ、猛烈な勢いで番付を駆け上がった。下位が相手だとここまで強いのかとひたすら感心していた幕下十両時代。番付を戻すのは本当に早かった。

確かに栃ノ心は強くなった。
彼の相撲はいつしか怪力に頼らぬものに変貌していた。

上手がとにかく取れる。
展開の中で自分の形が作れる。

ヨーロッパ系の力士は良くも悪くも自分のスタイルでねじ伏せに掛かるが、復帰した後の栃ノ心は違った。アスリートから力士に変貌したとでも言うのだろうか。顔はあちらだが、確かに彼は相撲を取るようになったのである。

しかし、怪我の影響からか、好不調の波は有った。上位で勝つこともあれば、下位でも成績が上がらないこともあった。良い時の爆発力は目を見張るが、数場所継続が出来なかった。続かないことが栃ノ心への期待を小さくしていた。

だからこそ、今回の活躍は意外だが嬉しかった。

今回の優勝は、栃ノ心が苦労を重ねて掴み取った、非常に重いものだ。場所中の騒動も含めて、あまりにも困難が多過ぎた。全て書き出せばキリがない。そのストーリーをただひたすらドラマチックに語るのもいいかもしれない。

だが、今回の優勝は大相撲にとって二つの意味で非常に大きな意味を持つことを私は強調したいと思う。

次回へ続く。

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