【ニュース】千代鳳ら4人が十両昇進。

新十両が発表された。
4名の昇進者のうち、
千代鳳と千昇は初昇進、
里山と荒鷲は再昇進ということになった。
全員がそれぞれの色を持つ実力派であることは
間違いなく、既に十両にふさわしい取組内容を
初場所でも見せていたため、
立ち合いの早さとその後の展開の激しさが
幕下とは段違いの世界に於いても
ある程度出来るのでは?という思いがある。
中でも注目なのは、吐合との歴史に残る
デスマッチを制して十両昇進を決めた里山…
ではなく、千昇である。


千昇。
式秀部屋に所属する、この力士は
7番目の取組で27戦27勝の佐久間山と
「勝った方が十両」という悪夢のような
マッチメイクを強いられた男である。
実力的にも十両では規格外のモンスターを
初十両が懸かった大一番で当てられる、
というのは一体どのような心境なのだろうか?
前日は当然のように悪いイメージしか湧かず、
眠れなかったことは間違いない。
佐久間山は只の怪物ではない。
立ち合いという明確な弱点はあるものの
不利な体勢から予測不能な大逆転を見せ、
ここまで連勝を伸ばしてきた、
字面通りのモンスターだ。
しかも、千昇には初十両を目前に控えている、
という重圧だけでは語れない男である。
そう。
彼は入門11年目のモンゴル人なのだ。
モンゴル人と言えば普通は助っ人的な存在なので、
入門から2~4年程度で十両まで昇進することが多い。
千昇のように8年余り幕下で頭打ちになる
モンゴル人力士というのは非常に珍しい。
大抵の場合このような状態になった場合は
相撲界から見切りを付けて廃業するものだ。
だが、千昇は現役を続けてようやく
このチャンスを掴んだ。
一体何が彼を動かしたのだろうか?
その動機は、実はあの吐合と同じなのである。
平成20年に自己最高位近くの
幕下11枚目で迎えた千昇は、怪我をしてしまう。
三段目まで落ちた後、幕下に戻った場所で
何と幕下優勝をしてしまう。
だが、またここで怪我をしてしまう。
3場所連続休場。
気が付けば十両は遠ざかり、
何と序二段まで転落してしまった。
これが平成21年の出来事である。
十両昇進のチャンスを2度掴みながら、
事も有ろうに2度とも怪我で台無しになってしまった。
そしてここからも吐合と同じ経緯を辿る。
幕下14枚目で迎えた先場所、
素晴らしい相撲を続け、6連勝で迎えた7日目。
相手は幕下筆頭にして3勝3敗の徳真鵬。
ここで勝てば優勝と十両昇進を決める、
相撲生命を賭けた大一番である。
年齢的にも28歳と、ラストチャンスに等しい。
だが、千昇は敗れてしまった。
小柄な千昇が長期戦の末に力尽きる、
という展開まで一致している。
つまり、千昇はモンゴル版吐合なのである。
千昇は1場所耐え忍んだ末に
十両が懸かった大一番で、事も有ろうに
佐久間山と当てられた。
そして最後に待ち受けた高すぎるほど高い壁と
究極の恐怖を受け入れ、見事勝利した。
これほど美しい十両昇進が他に有るだろうか?
正に人間賛歌である。
吐合は、千昇に成れるのだろうか?
勢いを借りずに、本当の強さで
生涯最大の壁と恐怖を乗り切ることが
出来るのだろうか?
私は、信じている。

【ニュース】千代鳳ら4人が十両昇進。” に対して1件のコメントがあります。

  1. 無双 より:

    コメントしつれいします。
    吐合には是非十両へ昇進してほしいものです。個人的なことを言わせてもらえれば、佐久間山VS吐合の全勝同士の優勝決定戦が見たたです。内規によれば、15枚目以内での全勝優勝は十両に上がれるらしいので、期待してましたが残念です。まあ、下田(現宇映)のようなこともありますが・・・
    来場所は、北の湖部屋から同時に2人の関取が出そうですね。
    あとは、千代丸にがんばってもらって今年中に、千代丸、千代鳳の兄弟関取もみたいな。
    三段目以下にもいい力士はいるんでしょうね

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