高見盛の衰えと、幕下相撲。

高見盛が引退の危機を迎えている。
幕下に落ちたら引退と公言する中で
序盤から負けが込んでおり、
後半戦の巻き返しが無ければ
このままの星勘定で行くと降格の可能性が
非常に高いのが実情である。
得意の形に持ち込むにも、相手に崩されて
そこに至らない。
仮に優位な態勢になっても、そこから決め切れない。
このような土俵がここ1年続いている。


今のコンディションで打開するための
何らかの施策を打たない限り、
この状況が変わることはないし、
逆に言うと今無いものを求めたところで
それは解決には繋がらない。
突き押し相撲の力士と違って
前への推進力の喪失が致命的な打撃を与える
わけではないので、手持ちの武器の中から
やりくりする要素は残っている。
今まではそれで維持することが出来たのだが、
遂にそれもままならなくなってきているところに
高見盛の危機を感じる。
十両の地位を守れないのではないかという思いが強くなり、
全盛期を思うと寂しい。
以前彼のインタビューで、非常に印象的だったのが
土俵に上がるのが怖い、
だからこそ生き死にを賭けて闘っている、という言葉だった。
このような言葉をものの例えとして口にする
アスリートは星の数ほど見てきたが、
高見盛という力士の不器用さを目の当たりにしてきた
相撲ファンの目線から見ると、
この言葉は決して誇張ではなく、言葉の意味に
非常に近しい覚悟をしているのではないかと思うのである。
こういう生き様の力士が十両で取る様子を
これから先も長く見たいと思う半面で、
私は相反する思いを抱いている。
そう。
高見盛を幕下で見たいと思うのだ。
地位も名誉も金も得た力士が、
未だに純粋に相撲を取り続けている。
若いうちは相撲だけにまい進していれば良いが、
地位が付くと共に得られるものが、純粋さを失わせる。
それはそれで力士の在り方では有ると思う。
が、相撲しか無いからこそ、退路が無いからこそ
見せられる相撲というのが幕下には有る。
人間としての弱さ、力士としての弱さを乗り越えるために
自らに向き合う者達は、高見盛の純粋さを持っている。
私は、この両者だからこそ見せられる相撲というのが
確実に存在すると思う。
本人の思いも有ると思うし、
幕下に降格したら引退するのは間違いない。
しかし、垣添がかつて幕下で見せた、
相撲バカとしての姿勢というのは
高見盛のような力士だからこそ見せられるし
そこには学ぶべきものが多く存在していると思う。
幕下相撲をここまで見届けてきたからこそ、
私はそう願わずにはいられない。

高見盛の衰えと、幕下相撲。” に対して3件のコメントがあります。

  1. mamoru より:

    高見盛の純粋さはすばらしいですね。いつかは力士は引退しなければいけないので、力士本人が決断を下すしかないですね。残りの取り組みを精いっぱいやってほしいです。

  2. Nihiljapk より:

    >mamoruさん
    コメントありがとうございます。
    純粋ゆえに誰よりも真っ直ぐに相撲に向き合い、
    力士生活を長年全うできたのではないかと思います。
    そういう純粋さを持ち続けるって
    今後も出来る人は居ないと思いますので、
    出来る限り続けてほしいものだと思います。

  3. こけもも より:

    中日を終わって2勝6敗。
    残り3勝4敗なら残れるだろうけれど2勝5敗では厳しいかな。
    最多勝記録保持者だった大潮だって幕下陥落しても取ったし、幕内優勝者や大関経験者でもなければ幕下は恥だから引退ということもないだろう。
    幕下に落ちても十両復帰可能圏だったら諦めずに取り続けてほしい。
    ただ部屋の継承問題もある。
    潮丸ではなくて高見の名を持つ高見盛こそが東関部屋の正統後継者であろう。
    部屋のことを思うと陥落を契機に引退かなとも思う。

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