幕下相撲啓蒙月間:幕下力士・吐合の5月場所を通じて、幕下相撲を知る。2日目:若力堂編

幕下相撲とは、何者かに成ろうとする男達の
最後の試練の場である。
人生するかしないかの瀬戸際で、
することを選んだ120人のロッキー達が、
勝つことでしか自己表現できない世界で
己の全てを賭けて闘う。
そこには人間らしい弱さも有る。
その大部分が挫折して辞めていく現状も有る。
だからこそ、私はそこに惹かれる。
幕下相撲とは、私達なのである。
2日目の相手は、若力堂。
誰だ?若力堂。
名前から推測できるのは、松ヶ根部屋であること。
恐らく「若島津」の「若」だろう。


検索を掛けても、出てこない。
番付の推移を見ても、幕下にはあまり上がっていない。
三段目に居ることが多く、安定したと思ったら
怪我をしてしまうというタイプのようだ。
親近感を覚える。
特徴として、調子がいいと勝ち続けるタイプのようだ。
先場所は三段目で7戦全勝。
優勝決定戦に出ている。
他の場所でも、三段目で数回大勝ちしていることが判る。
このタイプは乗せると危険である。
幸いにも、というか初戦を落としているため、
エンジンが掛かっていないのは事実だ。
気になるのは、体型。
187センチ 162キロ。ちなみに26歳。
北播磨や鳰の湖と同学年である。
危険な相手である。
何度も言うが、攻守一体にして
速攻相撲の吐合にとって、自分よりも
30キロ上が相手だと一切ミスが許されない。
身体の無い、愛と勇気と技術だけが友達の
吐合である。
アンパンマンの弱点は顔に水を
ぶっかけられることだが、
吐合の場合は距離を制圧されること、捕まること。
多いなぁ、弱点。
やれんのか?
幕下での実績は無いが、巨漢というだけで
悪い予感しかしない。
例の如く、先手を取り、距離を制して
速攻で持っていくも、土俵際で体が残っていて
吐合だけが落ちる、という彼に有りがちな
負けパターンだけは避けたいところである。
さて、立ち合い。

若力堂って、もみあげじゃないか。
いまどき華王錦くらいしか居ない、
見事なもみあげ。
もみあげキャラは今のところ
空席も同然なので、そういうキャラ付けは悪くない。
なんて思ってると、もう始まった。
立つと同時に相手を一旦受けて、
すぐに右にいなす。吐合得意のパターン。
これが出ると、序盤がかなり優位に進められる。
押す。
押す。
いいぞ、いいぞ。
気づいたら土俵際が近い。
だが、反撃する若力堂。
間合いが一旦リセットされる。
一瞬早く攻める吐合だが、
体を入れ替えられ、逆に土俵際。
ピンチ。
が、入れ替わった時に右下手が入る。
相手の右を制しながら、そのまま土俵際まで迫る。
これはもう行くしかない。
相手の身体はやや残っているが、攻めるしかない。
徳俵に身体を残し、最後の投げを見せる若力堂。
落ちる吐合。
タイミング的にはやや吐合が早い。
またこのパターンなのか。
だが、先に若力堂の足が土俵を割っていた。
吐合、初勝利。
攻めのタイミングで、一気に寄せたことが勝因だが、
圧力が無いせいか、体は残されてしまった。
前への推進力が無いのであれば、
技術で揺さぶり崩すしかない。
さて、この後どう3勝していくか。
というわけで、翌日の取組を覗くと、
近くの番付で1勝1敗の力士は
十勝海も風冨山も出ている。
ちなみに「よろぴく☆」こと豊後錦は
俺たちの北の湖部屋:天一との対戦。
ということは…これは危険だ。
嫌な予感しかしない。
3日目の相手が確定した。
岩崎、である。
続く。

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