蒼国来を取り巻く厳しい現実。幕内に潜む土俵の鬼達の凄みを考える。

蒼国来が復帰した。
八百長問題で2年間のブランクが有る中での復帰。
事の是非を語るのは当ブログの役割ではないので
別のサイトを参照いただければと思うが、
周囲の力士達が引退する中で現役にこだわり、
復帰に漕ぎ着けたことについては本当に頭が下がる。
以前土俵に復帰した蒼国来を、4月の稽古総見の際に
白鵬が相手し、愛あるかわいがりを行ったことが
非常に印象的だったのだが、あの時に思ったことが二つ有る。
一つは、よくぞ戻ってきたということ。
そしてもう一つは、まだまだ時間が掛かるということ。
白鵬の動きに全く対応できなかったことに加えて、
すぐに息が上がっていたこと、
そして何よりも身体が出来ていなかった。
2カ月で果たしてどうなるものか。
土俵への復帰を喜びながらも、
険し過ぎる先行きを思うと素直に喜んでも居られない。
そして2カ月は矢の如く去り、夏場所が始まった。


初日に敗れ、そして2日目も敗れて連敗スタート。
立ち合いはそれほど悪くない。
徳勝龍のような大型力士が相手でも、対抗出来ている。
だが、その後の展開で徳勝龍はえげつない攻めを見せる。
片腕を取り、身体を寄せて捻りながら前に進む。
たまらず正面から態勢を整えようとしたところで
一気に寄られて電車道。
正直なところ徳勝龍という力士をそれほど注目して観たことが
無かった私なのだが、とても感服した。
幕内の力士とはここまで強いのか、と。
相手が2年のブランクが有ろうとも、
濡れ衣かもしれない罪を着せられかけたとしても、
そこに掛ける情けは有れど、土俵に上がれば一人の敵。
そう。
全力で叩き潰しに掛かるのだ。
この厳しさこそ、幕内。
そしてこの厳しさこそが、相撲なのである。
彼は、見た目は蒼国来なのかもしれないが、
幕内力士:蒼国来としてはまだ戻ってきていない。
蒼国来が自らの運命と闘う中、
土俵上でシビアな生存競争と闘い続けて
2年で幕下から幕内にまでのし上がった徳勝龍。
漫画「スラムダンク」で、2年間ドロップアウトしていた
かつての天才:三井寿は過去を悔いて改め、
短期間で復帰して名門:翔陽高校戦で自らを取り戻した。
子供の頃は三井が頑張る姿に心動かされたが、
よく考えると翔陽高校でしごかれ続けた彼らの3年間よりも
天才の短期間の頑張りが勝るというのは理不尽なことである。
「スラムダンク」はあくまでもフィクションであり、
蒼国来は現実世界の住人である。
生きた力士と2年間の闘争を続けた徳勝龍には
彼が生き抜いてきたなりの凄みが有り、
これを上回るのは困難を極める。
闘い続けて勝ち得た自らの地位を全力で守り、
そして更にのし上がろうと全力を尽くす。
このシビアなヒエラルキー構造が織り成す
生存競争の厳しさに我々は心動かされる。
幕内は、鬼の集まり。
鬼を倒すには、相応の覚悟と血の滲むような努力が必要なのである。
蒼国来の闘いは、まだ始まったばかりなのだ。
■追伸
名古屋場所9日目に参戦します。
もちろん、吐合Tシャツ着用します。
ご覧になったら一声お声かけください。
ビールの1杯はご馳走いたします。

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