プロ野球のオールスターに於ける大谷翔平出場の是非。相撲文化と野球文化を比較して考える。

先日のプロ野球オールスターで
日本ハムの大谷翔平が選出され、二刀流で出場したことが
物議を呼んでいる。
面白かったから、いいじゃないか。
オールスターに選出されるだけの成績を残せていない。
どちらもその人次第の意見である。
とはいえ31試合の出場で.313という打撃成績はともかく、
5試合を投げて4.20という投手成績は一軍選手としてもかなり微妙で、
オールスターに選ばれるのにふさわしいかと言えばそうではない。
実力的な基準で考えると打者としての出場であればまだ納得。
投手としての出場は有り得ない。
これは、客観的な事実である。
とはいえ、何故このような議論が起きているのか。
ヒントは、相撲に有る。


相撲には本場所とそれ以外で役割が大別される。
本場所が真剣勝負という位置付けであることに対して、
地方巡業やトーナメントは「花相撲」という言葉で表現される。
本場所に関しては我々は勝負の趨勢を楽しみに行く。
あくまでも真剣勝負の現場ということで、
私達は誰もが認識して見ている。
裏で何が行われているか?ということは別問題なので、
この場では議論の対象とはしない。
また、地方巡業に関しては、
見ている誰もが真剣勝負をしているという認識は無い。
そのような勝負の形態をあらゆる競技で「花相撲」と
表現するのは相撲発祥だからなのだ。
そして、何よりも重要なのは、
本場所の位置付けも、花相撲の位置付けついても
日本中の誰もが理解できている、ということである。
だからこそ、花相撲で真剣勝負が為されていなくても
物議の対象にはならない。
だが、野球のオールスターに関しては、
そうしたレベルにはまだ至っていない。
真剣勝負なのか。
人気だけで選出していいのか。
コントロールできないスローカーブを投げていいのか。
考えてもみると、野球のオールスターというのは
昔からこのような問題が存在してきた。
高卒1年目で実績に乏しい太田幸司が選出されたり、
野手のイチローが登板したり、
藤川球児がカブレラを相手にストレートだけで勝負したり。
だが、我々はこうした点について位置付けを見直してこなかった。
それ故に、選手もファンも、これらの選出やプレイに対して
どのような判断をすればいいかが分からない。
明確な位置付けが無いので、その是非は
その人の価値観に委ねられる。
プロ野球70年。
だが、文化的にはまだまだなのだ。
皆で議論し、一つの解を導き、そしてその価値基準を
日本中の皆が共有する。
ここまで至って初めて文化と言えるのである。
私はそのことを批判したいわけではない。
これを契機に、どうすればいいかを心行くまで話せばいい。
そして、その価値基準を皆で共有すればいい。
私達は、そうした分岐点に存在しているのだ。
それを喜びたい。
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