高安は横綱大関相手に通用する力士なのか?過去2年の上位との成績を比較して考える。

新番付が発表された。
遠藤のデビュー3場所での幕内昇進、
若三勝改め照ノ富士と千代丸の十両昇進。
加えて幕下上位の「鬼の棲家」っぷり。
今場所も見どころが満載。
2週間を切って、思いを馳せるだけでも十分に楽しめる。
まだ始まっていないからこその楽しみ。
さて、そんなわけで私が今場所注目しているのは
高安である。
平成生まれ初の三役力士。
スケールの大きな相撲っぷりからも予てより
期待を集めていたが、期待にはやや実力が
追いついていなかったと感じている。
しかし先場所は上位で勝ち越し、遂に三役に昇進した。
ここで考えてほしい。
上位で勝ち越すのと、下位で圧倒するのは
そもそも適性が異なるのである。
今回は久々にデータを持ち出してみた。


下で大勝ちした力士が上位に昇進後、
大敗して元の地位に戻る。
そしてまた大勝して上で負け越す。
こうした事例を見たことがある方も多いと思う。
そこで、今回は上位と総当たりの対戦に於ける
各力士の成績を検証してみた。
果たして、高安は上位に勝つ適性の有る力士なのだろうか。
ちなみに、以下の条件で絞り込んだ。
・過去2年で、3場所以上前頭3枚目以上に在位している
・横綱・大関・大関経験者は除く
すると、大変興味深い結果が出た。
◇過去二年に於ける、前頭3枚目以上での成績
場所数 勝越 勝越率 勝率
豊ノ島 7 2 0.29 0.44
豊真将 5 2 0.40 0.41
隠岐海 6 1 0.17 0.32
豪栄道 10 6 0.60 0.53
栃ノ心 6 0 0.00 0.30
旭天鵬 3 0 0.00 0.22
阿 覧 5 0 0.00 0.28
臥牙丸 5 0 0.00 0.27
豪 風 4 0 0.00 0.33
栃煌山 8 4 0.50 0.50
安美錦 9 2 0.22 0.47
高 安 4 1 0.25 0.42
妙義龍 9 6 0.67 0.55
時天空 3 0 0.00 0.27
松鳳山 5 2 0.40 0.48
魁 聖 3 0 0.00 0.44
そう。
上位が相手だと対等に戦える力士と、
戦えない力士に大別されたのである。
戦える力士の代表例は、豪栄道・妙義龍・栃煌山。
彼らは例え負け越しても、そう大崩れはしない。
そして、コンスタントに勝ち越しを重ねる。
戦えない力士は、阿覧や栃ノ心、臥牙丸のような
身体能力で押すタイプ。
さすがに勝率で見ると3~4回に一度しか勝てていないのだから、
このように結論付けざるを得ないところである。
さて、問題の高安だ。
このデータを見ての通り、彼が上位で勝ち越したのは
実は先場所が初めてである。
これをフロックと見るのか、それとも実力と見るのか。
だが、フロックと言うには高安は上位での勝率が悪くないのだ。
上位で戦えないと立証された力士は、3割程度しか
勝てていないのだが、高安の勝率は42%。
母数が少ないとは言え、大敗してしまう力士のそれとは明らかに異なる。
上位で勝ち越せている安美錦や松鳳山は、47~48%。
彼らには今のところ及ばないが、そこまで大差が有るわけでもない。
結局、阿覧達と高安の違いは、横綱大関が相手でも
勝つことができる点に有る。
日馬富士に2度勝ち、既に琴欧洲と鶴竜も撃破している。
その差こそが、10%程度の勝率に現れているのだ。
つまり、上位を相手に戦える可能性が有る、
というのが現時点での結論である。
しかし、結局は「上位を相手に戦える『可能性が有る』」に過ぎない。
豪栄道・妙義龍・栃煌山と比べても、まだ上位での実績は乏しい。
これは事実である。
経験が乏しいことは、逆に可能性を示すことでもある。
そこに人は期待する。
実績から実力を見ることもできるが、
半面で限界を示すことにも繋がる。
高安はどうなのか。
やれるのか?
若手と言うには少し歳を取ってしまったが、
着実に力を付けた彼に期待したい。
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