気になる元力士の店に行ってみた。第一回:清瀬海の店「スナック愛」編。Part3

元力士の店というのは、興味は有っても
力士時代の残像が有るために
様々な感情が邪魔をして、なかなか足を運ぶには至らない。
そこで、私は元力士の店の知られざる実態を
解明すべく、立ち上がった。
第一回目は、あの清瀬海の店
「スナック愛」。
錦糸町という土地柄と、力士と会うことに対する緊張ゆえか。
様々な葛藤は扉を開けることで乗り切る私。
すると、そこには清瀬海が居た。
元力士と膝を突き合わせて1対1という状況に戸惑いながらも、
話してみると思った以上に普通の青年である。
「力士は尊敬の対象である」という認識が、
逆に壁を作っていたことに気付き、他のお客さんを交え
清瀬海さんといいちこを酌み交わす。
1人で飛び込みで来た私ではあったが、
尾車部屋のダンスの映像を見ながら、そして
清瀬海さんを中心に話すことで他の方とも打ち解けられた。
お酒とスナック菓子、あとおつまみの薩摩揚げだけで
こんな気分に成れる場所も珍しい。
清瀬海さん曰く、場所中はちゃんこを作って
振る舞うときもあるそうで、それもかなり気になる。
そこで、スナック愛に来る前に抱いていた疑問が過った。


何故この人は、料理店ではなくスナックを経営するのか。
様々な誤解や憶測を生みやすいということを分かっているのだろうか。
こういう雰囲気を提供できるのであれば、スナックでなくても
まっとうな印象を与えやすい業態にした方が彼自身にとっても
お客さんとしても良かったのではないだろうか?
酒を飲みながら、普段ほとんど食べることの無い
ポテトチップスをポリポリやりながら、
気持ちよさと同じくらいの謎に支配される私。
だが、清瀬海さんはここで、そんな私の意図を見透かしたかのように
スナック愛を開店した理由を話してくれた。
「自分の場合は、料理がそんなに出来るわけじゃないんで、
でも、人と話すことだったら出来る。
なら、スナックがいいんじゃないかなと思ったんですよ。」
なるほど。
面白い考察である。
人はつい、世間体や見栄の問題から分不相応なことをしがちである。
そしてそれが時には良い結果を生み出すことにも繋がるが、
大抵の場合はそこから生まれた歪に耐えられずに壁に当たり、
現実を思い知り挫折していく。
だが、そうしたリスクを理解していたからなのか、
はたまた単に最短距離としてそこに行き着いたからなのか、結果として
清瀬海さんは自分が長所だと感じる点を押し出した業態で運営し、
正にそれがお客さんのニーズとマッチしている。
私は力士を尊敬しながら、一方で卒業論文が手形一つという輪島伝説や
授業に一つも出ずにテストの際に「僕たち相撲部なんで」と言えば
単位が貰えることを目の当たりにしていたために、
抜けた部分がある程度は有るものだと認識はしていた。
しかしこの清瀬海という人は、確実に自分を知っている。
そして、現実的な判断が出来る人なのである。
それがたとえスナックという、様々な憶測が行き交う業態であっても
背伸びせずに自分に出来る選択をする。
ただ、それは元力士のセカンドキャリアとしては辛いことではないだろうか?
誤解というのは、思った以上にストレスになるものだ。
相撲界というのは狭い世界で、力士は勿論
一新聞記者や有名ファン、そして私のようなブログ管理人でさえも
巨大掲示板で話のネタになっている。
ましてやそれが、清瀬海さんだとすると
賛否両論の「否」に対する風当たりは物凄いことだと思う。
口には出さなかったが、そうしたストレスに思いを馳せる私。
だが、ここでもまた、彼はそんな私の思いを汲み取ったのか
こんなことを話してくれた。
「知ってますよ。『いつ潰れるんだ?』って言われてること。
 イタズラ電話も凄いんですよ。でも、言われているうちが華なんですよね」
この言葉を強がりと受け止めるか、本心と受け止めるかは
その人次第である。
だが、少なくとも清瀬海さんが自分を客観的に観察し、
批判的な論調にさえ寄り添える人であることがよく分かった。
想像以上に、面白い人である。
続く。
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