白鵬を止めるのは、平幕力士という仮説。平幕優勝に必要な条件と、候補者を考える。

前回の記事で、白鵬の凄さを味わおうという趣旨のことを言ったのだが、
私としたことか少しばかり魔が差して、
今日の出社時に「果たして誰なら、白鵬を止められるのか?」
ということを考えた。
白鵬を正面から倒せる力士は、今のところ
日馬富士と稀勢の里しか地球上に存在しない。
だが、日馬富士は足首の不調に加えて
横綱のプレッシャーが悪い方に作用しており、
また世間の求める横綱像が彼を苦しめている。
稀勢の里は日本人最後の砦としての期待によって
毎日蝕まれており、気の休まる時が無い。
鶴竜と琴奨菊は上位3力士を相手に勝ち越すことは考え難いし、
豪栄道や栃煌山では大関横綱を相手にかき回すことは有っても
かき回す次元で終わってしまう。
それ以下の力士だと、妙義龍や松鳳山クラスにも及ばず、
前頭3枚目以上の「プレミアリーグ」在籍者の当面の目標は
勝ち越しということになる。
となると、もし仮に白鵬が優勝できなかったとなると
白鵬を止めるのは誰になるのだろうか?
数場所後は分からないが、少なくとも今の状況だと
誰もが明確な不安材料と実力不足という課題を抱えており、
なかなか難しい状況なのである。
上位の実力者を軒並み倒すというのは、
それほど大変なことなのである。
だが、実は上位を多く倒さなくても優勝する可能性は
残されているのだ。
そう。
平幕優勝、である。


前頭4枚目以下に属していれば、上位と総当たりで対戦することは無く、
このクラスの力士を倒し続ければ良い。
成績が優秀だと、後半戦で三役・そこでも勝てば大関、という割が組まれる。
つまり、難易度は通常の優勝に比べるとグッと低くなる。
上位がこれほど厳しい状況なのだから、ある程度
実力が拮抗していたとしても、このレベルで勝ち続けることの方が
有り得ることなのではないだろうか?
ここで私は、過去の平幕優勝やそれに迫った力士の事例から
現時点で平幕優勝に近い力士を考えてみようと思う。
◆Case1:実力者の逆襲 例)琴錦・貴闘力
三役クラスの実力者が、何らかの理由で
前頭4枚目以下に番付を落としている時が有る。
彼らはこの地位だとさすがに抜けた存在なので、
コンディションが整っていれば地力の差で勝ち続けられる。
後半で三役と当たっても、大関と当たっても
今まで既に対等に渡り合ってきた彼らだから
多少星を落としても前半の貯金が有るので
優勝戦線には残れる。
◆Case2:闘争心タイプの狂い咲き 例)北勝力
闘争心を前面に出すタイプの力士は、
結果がついてくると実力以上の力を出し始める。
同格のライバルを蹴散らしたかと思えば、
格上の力士を相手にもその勢いが止まらない。
例えるならば、スターを取った無敵のマリオ。
こうなると地位はあまり意味を成さない。
◆Case3:ノーマークの力士の「あれよあれよ」 例)琴富士、旭天鵬
長く幕内を務めた、実力有る力士が
不思議な連勝を重ねる。
勝っている本人もよく分からない。
周りもよく分からない。
しかしノーマークなので、全くプレッシャーは生まれない。
むしろ長年の積み重ねが全て良い方向に向かうので、
事態はさらに好転する。
更に、これらの力士を支える二つの要素が有る。
◇プラス要因1:所属部屋の強力なサポート 例)貴闘力:二子山部屋
平幕優勝をする時は、たいていの場合が上位陣が大荒れになる。
その大荒れを生み出すのは、優勝力士だけではなく
その力士が所属している部屋の力士の貢献が必要となる。
混戦は上位力士のコンディション不良を産むだけでなく
大荒れを産むような実力者との対戦が避けられるので正に一石二鳥と言える。
◇プラス要因2:ファンによる大歓声 例)旭天鵬
実力以上の力を出すには、今までの自分を継続するだけでは
どうしても限界が有る。
こうした時に使われる表現として
「魔法に掛けられたような」という言葉が出てくるのだが、
魔法というのは自分が思い込むだけでなく、
周囲がそうしたムードを醸成する必要が有る。
ファンの思い入れが力士を後押しする光景は
何も旭天鵬の時だけに見られたものではない。
さて、このような条件を考えてみると、
一体誰が候補者と成り得るのだろうか?
独断と偏見でこのカテゴリに入る力士を考えた。
◆Case1:実力者タイプ
⇒豊真将、栃乃若
◆Case2:闘争心タイプ
⇒琴勇輝、富士東
◆Case3:「あれよあれよ」タイプ
⇒北太樹、豊響
そして、2つのプラス要因が特に強く表れる力士は、
◇プラス要因1:所属部屋のサポート:
⇒琴勇輝
◇プラス要因2:ファンによる大歓声:
⇒豊真将
といったところだろう。
白鵬を止める可能性が有る力士。
それは豊真将か、琴勇輝というのが私の結論である。
これはあくまでも論拠に基づく遊びなので、
くれぐれも「こうなるべきだ!」という類のものではない。
それはご了承頂きたい。
だが、各自が各自の尺度を以って予想したり
意見を交わすのは、非常に楽しいことである。
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白鵬を止めるのは、平幕力士という仮説。平幕優勝に必要な条件と、候補者を考える。” に対して2件のコメントがあります。

  1. 碧海 より:

    今場所、舛ノ山が
    >Case2:闘争心タイプの狂い咲き

    >プラス要因2:ファンによる大歓声
    にはまりつつありますね…
    肺が弱く?て長い相撲が取れないのが逆に相撲を早くして
    いい相撲になってるという認識は前からあるんですが、
    優勝はともかく、前頭14という大勝ちしても横綱どころか大関にさえ当たらないかもしれない地位を生かして場を荒らしてほしいものです。

  2. 碧海吟遊 より:

    地位の見間違いがありました、前頭11枚目ですね。
    (14枚目は、先場所でした・・・)
    まずは彼より上位の勝ちっぱなし、千代大龍当たりに
    (彼も失明寸前の目の病気を抱えて勝ちこんでるのが謎すぎる。)
    勝てるかどうかでしょうか。

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