幕内上位に23歳以下の若手力士が居ないのは、稀に見る異常事態。その理由とは?

「幕内の中で、最年少の力士は誰でしょうか。
 そして、何歳でしょうか。」
この質問に対して即答できる方がどれほど居るか、
私には想像が付かないが、それほど多くはないと思う。
ちなみに正解は千代鳳の21歳。
次点は大砂嵐、琴勇輝の22歳。
そして23歳の高安、舛ノ山、遠藤と続く。
彼らを見て、気付くことは無いだろうか?
三役に定着した力士が、今のところ居ないのだ。
例えば、5年前の番付。
三役に当時22歳の稀勢の里と豪栄道が居る。
例えば、10年前の番付。
横綱には当時23歳の朝青龍が居る。
例えば、15年前の番付。
大関には当時23歳の千代大海が、小結には23歳の栃東が居る。
例えば、20年前の番付。
大関には当時22歳の貴ノ花が、関脇には23歳の武双山が居る。
つまり、過去20年間の事例を取っても
三役以上に23歳以下の力士が定着していないのは
今だけなのである。


世代のエリートたる彼らが誰もトップクラスに
定着できていないというのは異常事態と言わざるを得ない。
そもそも三役どころか総当たりの地位である
前頭上位に定着している力士ですら、
強いて言うなら高安のみという有様。
世代として弱い、という見方も有るが、
それは現時点では結論付けることが難しい。
そこで、今回は世代レベルではない観点で
何故今若手が上位に定着できないかと考えてみたい。
仮説を考察する前に抑えておきたいポイントは、
過去と現在の違いである。
そこで私は番付を眺めてみると、
一つのことに気付いた。
そう。
力士がここ数年で多様化しているのだ。
20年前であれば中卒が主体で、
割って入る大卒とハワイ系という構図だった。
10年前にはこの中にモンゴル系が加わり、
更に大卒の層が厚くなった。
5年前からは東欧系も加わった。
そして今、多様なバックグラウンドを持つ力士達は
上位だけでなく下位にも定着しているのである。
幕下でも一定割合でモンゴル人・東欧・大卒が居る。
モンゴル系はモンゴル相撲をベースとした
スピードどテクニックをミックスしたスタイルが、
東欧系はアスリート能力の違いで圧倒するスタイルが、
そして大卒はアマチュア相撲ならではの
テクニックを前面に出したスタイルが有る。
そして、ここが非常に重要なのだが
彼らのスタイルは、幕下と十両、幕内でも異なる。
つまり、対応しなければならないスタイルが
無数に存在しているということだ。
最近の遠藤を思い出してほしいのだが、
十両で彼は徳真鵬に勝てなかった。
そして、幕内昇進後は臥牙丸に勝てなかった。
その理由として、大型力士との対戦経験の無さ
ということが挙げられていた。
遠藤は、彼の長所たる対応力によってこれを克服したが、
力士には得意不得意が有り、全てのジャンルに於いて
安定した対応を見せるのはなかなか難しい。
稀勢の里が東欧系の力相撲を大の苦手としていたことからも
そのことはよく分かると思う。
様々なスタイルへの対応は、短期間で成し遂げられるものではない。
それもまた2014年のトレンドなのであり、
だからこそ面白いとも言える。
世代の強弱を語る前に、多様なスタイルについて
思いを巡らせるのも、一つの見方と言えるのではないだろうか。
今回の発見で私はそう考えた次第である。
◇お知らせ◇
02/12にUstream配信を行いました。
その時の録画映像です。
・遠藤改名問題について
 改名のタイミングをどうするのか?
 そもそも名前が重要じゃなくて、力士次第。
・遠藤の特殊性とは?
 出世の速さ故の名字四股名であること。
 様々なタイミングを「持ってる」こと。
・番付編成について
 微妙な調整に於ける、大相撲協会の見る目の確かさ。
・里山先輩について
 里山が潜れる理由、そして2場所目のジンクス。
http://www.ustream.tv/recorded/43714195
◇お知らせ2◇
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限定情報も配信しています。
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幕内上位に23歳以下の若手力士が居ないのは、稀に見る異常事態。その理由とは?” に対して1件のコメントがあります。

  1. 城南区の相撲好き より:

    全く同感です。
    勉強になりました。
    ありがとうございます。

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