【番外編】高校相撲の魅力。4

立ち会いの駆け引き、駆け引きというだけで
消化することがもはや困難な程、
相手を出し抜き勝利することに特化した
彼らの文化は、我々が普段相撲だと思って
見ているそれとは明らかに異なる。
いや、異なるのではない。
明らかに対極に位置しているのだ。
相手に感謝し、相手を全て受け入れ、
その上で相手を上回ることを目指すのが
大相撲であり、
相手を倒すことだけが目的で、
またその場を自己表現の場とするのが
アマチュア相撲なのである。
やくみつるは朝青龍を叩く前に
こちらへの苦言を呈することが先だったのでは?
と思うのだが、やくみつる自身が
アマチュア相撲的な精神性で評論しているので
アマチュア相撲を否定することが
彼自身を否定することにも繋がるのだと考えると
判りやすい悪を叩く方が彼にとっても
都合がいいのだと気付かされる。


さて、高校相撲に話を戻す。
勝利が至上の価値を持つという
考え方があり、それは立ち会いに
凝縮されていたのだが、
相撲自体を見比べてみると思ったほどの
違いは無い。
むしろ四つ相撲が主体で、
突き押し相撲やら立ち会いの変化などといった
選択肢が無いのである。
つまり、このことから判るのは
高校相撲には高校相撲なりのモラルが有り、
彼らはその範囲内で立ち回ることを
義務付けられているのだ。
何が良くて何が悪いかは一般人には
全く知る由もない。
だが、突き押しが見られないという
明確な特色を考えると勝利が第一でありながら
やってはいけないことも存在する。
普通は上位カテゴリで許されていることが
下位のカテゴリでは許されないということは
有りがちなのだが、その逆が存在するということが
私にとっては衝撃である。
例えばプロレスでは若手に許される
一番の多技はドロップキックであったり、
コスチュームは海パン調の奴でなけばダメとか、
若手に課す理不尽な掟というのが存在している。
大相撲ではやってはいけない
ド汚い立ち会いをすることに慣れた彼らが
大相撲の門を叩いた後で
これを間違えてやってしまった場合、
一体どういうことになるのだろうか?
命は保証されるのかが気になる次第である。
そして、取組が終了すると、
私は信じがたい光景を目撃した。
続く。

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