モンゴル人と幕下相撲3。

モンゴル相撲をベースとしたスピードと
テクニックで撲界を席巻し続ける、
モンゴル人力士達。
総勢27名の精鋭たちのうち
半数近くが超一流力士たる十両・幕内に
昇進しているという事実を見ても、
彼らのスペックの高さというのは
特筆すべきものであると言える。
対してかつて大相撲に一時代を築き、
相原勇との結婚騒動やボブサップとの
一戦であらゆる者の記憶に残る存在となった曙を
始めとしたポリネシア系の力士が完全に姿を消した。
それは彼らが酒絡みのトラブルを
日常的に起こすだけでなく
モンゴル人の方が適応力があるから、という
仮説を立てるのが自然と言えるだろう。


ここで私が一つ疑問なのは、
何故ここまでモンゴル人が結果を残すことが
出来るか?ということである。
そもそもモンゴル人がスポーツの舞台で
際立った成績を残しているという事実を私は知らない。
少しだけ記憶があるのは、
ボクシングの畑山が世界タイトルマッチで
対戦したラクバ・シンという選手と
テレビのラテ欄でその名前の長さから
「朝青龍兄」と書かれたドルコルスレン・スミヤバザル
だけなのである。
そこで私はモンゴル人のオリンピック金メダル
総獲得数を検索してみた。
すると、意外な事実が発覚した。
金:2
銀:7
銅:10

歴史的な大惨敗として
国内から総叩きに遭ったソウルオリンピックでの
日本選手団すら金:4、銀:3、銅:7という
成績なのである。
つまり、この事実からも判るように、
モンゴルはスポーツに力を入れている国ではない。
そして、一人あたりのGDP(国内総生産)は
約3500ドル。
日本円にして約30万円といったところである。
ハングリー精神というのは本来、
スポーツをする上でもっとも単純明快な
動機なのであるが、
残念ながらハングリー過ぎる国に生まれ育つと
比較的裕福なハングリー国には
劣ってしまうという逆説的な事実が
透けて見えるわけである。
ちなみに同程度のGDPの国としては
ボスニア、フィジー、ソマリア、グアム(アメリカ領)
といった地域が挙げられ、
いずれにしてもスポーツどころではない
ということがお分かり頂けると思う。
総人口260万人のハングリー国家の出身者が
これだけ上位を占めるという状況は
その理由について仮説でしか立証することが出来ない。
だが、スポーツエリートを輩出していない
この国家に於いて相撲だけは結果を残している
という事実から想定されるのは、
・選りすぐりのエリートが来ている
・モンゴル相撲と大相撲は親和性がかなり有る
・日本人がだらしない
といったことである。
これから「鵬」やら「狼」や「龍」といった
字が四股名に入っている力士を見かけたら、
こうした背景について想いを馳せることも
一つの楽しみ方ではなかろうか。

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