蒼井優さんの「マイブームは相撲」発言から考える、大相撲人気の現在地。まだまだ相撲人気を回復させねばならない、切実な理由とは?

先日、蒼井優さんがマイブームとして相撲を挙げた、
というニュースが報じられていた。
「仕事で中継が見られない時はビデオで撮って見ています。
興奮を煽るカメラワークを含めてすごい楽しいので、生で見たいですね。
来年は中継に映りたいと思います。家に帰ったら相撲を見て
ご飯を食べて手芸をやってと、すごく忙しいんです(笑)」
相撲に興味を持って間もない新鮮な感覚で、
私がもう忘れたものでもあるので、
このコメントを見てまず面白いと感じた。
そして、蒼井さんのような相撲に縁が無さそうな方にまで
届き始めていることに驚くと共に、少しずつ
世間が変わってきていることを感じ、嬉しく思った。
こういう発言は面白いもので、少数派としての趣味嗜好は
共通して持っていると親近感が湧いてくるものだ。
そのことについては山根千佳さんが半年前にNHKで
臥牙丸にインタビューした際に言及している。
そのため、今までとは違う印象でこれからは蒼井優さんを
観ることになるのは確実だと思う。
[相撲アイドル:山根千佳さんに関する記事はこちら。]
少しずつ相撲が届いているという感想を抱きながら、
しかし私は別の観点でもこのニュースを捉えていた。
蒼井さんは「マイブーム」として相撲を紹介していたのだ。
例えば、最近好きになったものが野球やサッカーだったらどうだろうか。
誰だって好きなものなので、それはマイブームとして発言するほどでなかっただろう。
つまり、彼女は相撲がまだ同世代や女性の間で届いていないことを理解したうえで
この発言をしているわけである。
相撲人気の回復は、蒼井さんにまで届いていることは事実だ。
だが、人気が波及するのには段階が有る。
つまり、人気の無い状態からいきなり老若男女全てに行き届く、
ということはそう無いのだ。
今の段階だと、どん底に落ちた相撲人気が土俵の充実と共に回復し、
蒼井さんのような自分から面白いこと、
面白い情報を掴みに行くタイプの方に響きつつある状態なのだろう。
そしてこのような方が周囲にその面白さを喧伝することによって
自分からは動かないけど面白いことを求めているタイプに人気が波及する。
彼らに相撲が届いたとき、その人気は更に大きく取り上げられ、
相撲が好きだということが特別な意味を持たない次元に成る。
集客は伸びているかもしれない。
メディアでも取り上げられる機会は増えているかもしれない。
だが、実はまだまだ人気を高められる状態に
大相撲が有ることは間違いない。
更に上の次元にまで相撲人気を波及させなければならないのには理由が有る。
新世代の発掘である。
相撲人気が回復するのは喜ばしいが、
あくまでも面白いと感じているのはまだまだ少数だ。
子供がスポーツを始める時に競合に成るのは
野球やサッカーなど、既に人気が当然有るという次元のものばかりである。
今の次元では相撲が特に盛んな地域や、
自分から面白いことを掴みに行くタイプの少年が行うことになる。
モンゴルからスポーツエリートが来日する昨今だからこそ、
彼らに対抗するにはより多くの日本人を巻き込む必要が有る。
双葉山や栃若、大鵬や輪湖を経験した世代では、
スポーツエリートが相撲を目指した。
相撲人気がどん底の頃に少年時代を迎えた世代が現役を迎えるころ、
外国人力士の勢力が更に増すことも考えられるかもしれない。
確かに今、相撲はかつての輝きを取り戻し、
土俵の充実が人々に届きつつある。
だが、まだまだやるべきことは山積している。
私がここまで言うには理由が有る。
そう。
若貴を経た世代は、モンゴル全盛期の現役世代と同じだから。
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[蒼井優さんの相撲に関する記事はこちら。]

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