何故嘉風がマニフレックスのアドバイザーとして選ばれたのか。生き様を土俵で体現する素晴らしさを考える。

普段買わない月刊相撲を購入した。
5月号で嬉しいのは「全相撲人写真名鑑」が付いていること。1月に発売される力士名鑑と情報量があまり変わらない上に、雑誌の付録なので幅を取らない。つまり、相撲観戦する際に持ち運びするうえで大変便利なのだ。
この名鑑欲しさに購入した月刊相撲を眺めていると、デーモン閣下と照ノ富士の対談や山根千佳さんと能町みね子さんの対談など、気になる特集が組まれていることに気付く。
レジに持って行き辛いこの雑誌の上にNumber最新号を載せ、レジに向かおうとした時にふと思い立って再度立ち読みしたところ、一つの広告に釘付けになった。
そう。
マニフレックスである。
ご存知の方も多いと思うがマニフレックスとは最近日本でシェアを拡大しているイタリアの寝具メーカーである。
サッカーの香川真司、野球の青木宣親といった日本を代表するアスリートをアドバイザーとして起用し、その効用を世に広く伝えているのだが、実は相撲界にもアドバイザーが存在する。
相撲界代表のマニフレックスのアドバイザー、それは嘉風なのだ。
嘉風は確かに素晴らしい力士であることは間違いない。それは相撲ファンであれば誰もが認めるところだろう。だが誰もがこの起用に対して思うはずだ。
何故嘉風なのか。
素晴らしい力士は嘉風に限らない。相撲界の位置付け言えば横綱大関の方が成績は明らかに上だ。そして、力士として素晴らしいだけでなく、相撲を知らない人にも存在を広く知られた遠藤や逸ノ城といった力士も存在している。
勿論嘉風のような素晴らしい力士を選んでいることは相撲ファンとして嬉しいことだった。だが、彼らが居る中で、嘉風を積極的に起用する理由を私は測りかねていた。
しかし、答えは非常に簡単だった。
広告記事を転載するので、読んでほしい。
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もちろん勝ちたいに
決まっています。
特に故障明けとはいえ
幕内に留まった
今場所は
どんなことをしても勝ち越したい。
常に、記憶に残る
相撲を取れという
師匠の教えに導かれ
嘉風が、
国技館の館内を
どれだけ沸かせられるか
見て欲しい。
尾車部屋 嘉風雅継
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自分の言葉で自らの意気込み語る、このような広告を私はあまり知らない。しかし素晴らしい言葉だ。声に出して読んでみたいような、美しい言葉だ。言葉の美しさに惹かれる中で、私は一つのことに気付いた。
嘉風は、この言葉を体現する力士なのである。
「言葉とは、何を言ったかが重要ではない。誰が言ったかが重要なのだ。」ということを最近思い知らされているのだが、いくら言葉が素晴らしくてもそれに反する行動を取れば一気に説得力を失ってしまう。だからこそ、言ったからには行動で示さなければならない。
例えば弱さを見せて変化したり、楽をしようと引いたりという姿勢を見せてしまえば「国技館の館内をどれだけ沸かせられるか見て欲しい」という言葉は虚しさを帯びてしまう。
だが、これが嘉風であれば納得する。
嘉風はもう若くない中、いつ壊れてもおかしくないような全力の相撲を見せてくれる。昨年の夏場所、稀勢の里をあと一歩まで追いつめたあの一番は、個人的には年間ベストだと確信している。
素晴らしい力士は数多く存在するが、嘉風は嘉風にしか出来ない相撲を取る。嘉風は生き様を土俵で体現している。そして、それを言葉で表したのがマニフレックスの広告だということなのである。
そう考えると、マニフレックスが嘉風を起用したことに必然性が見えてくる。そしてこの広告の冒頭にはこう記されている。
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嘉風よ
記憶に残る
力士たれ
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記憶に残る嘉風の相撲を、夏場所も見届けようではないか。
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