大相撲の理事長選びに必要なのは、マニフェストである。

北の湖理事長逝去に伴い、後任が誰になるか注目されている。
先日当ブログでも記事にしたが、今はもう人気低迷が底を打ち、類を見ぬ繁栄を見せている。動乱の時代は終わったが、次なる繁栄に向けて何が出来るかが鍵となる。相撲界の顔として有事の際のメディア対応も求められていた数年前とは求められる適性が異なるわけだ。
政治の話をするのは少しためらうところだが、かつて政治の世界では「無事の橋本、平時の羽田、乱世の小沢、大乱世の梶山」という言葉が有った。この言葉の是非を論じたいのではなく、状況に応じてリーダーに求められる資質は異なり、リーダー候補もまた異なる資質を持っているということだ。
大乱世は去り、今は平時なのだろうか。一時的な平穏なのかもしれない。だが、この平穏は長くは続かないかもしれない。平穏が続かなくなる要素は、適当に箇条書きするだけでも無数に存在する。
全く資質が異なる分だけ、また、前例の無い事例ばかりだからこそ、次代のかじ取りはより困難を極めるのではないかと私は思う。人気が低迷したあの頃、相撲協会はこれと言ってファンサービスを行ってはいなかった。そして、土俵を見れば白鵬という稀代の大横綱が世間の求める力士像を体現し続けていた。振り返れば当時、人気回復に向けて着手すればある程度結果が出る下地は有ったのである。
そういう中で、誰がリーダーとして相応しいのか。試しに私はTwitter上でアンケートを取った。すると、ものの6時間で200を超える回答が寄せられた。ちなみにTwitterのアンケートの仕様上4択が限度のため、名前が頻繁に挙がる4人の親方に限定したところ、以下のような回答が得られた。
八角親方  :43%
伊勢ヶ濱親方:20%
九重親方  :19%
貴乃花親方 :18%
見ての通り、八角親方が他の3親方に大差を付けているのだ。
現在理事長を代行しており、北の湖理事長に近い考え方ということも記事になっている。北の湖理事長の代行としてはこれほど適した人材は居ないのではないかと思う。ただそれは、あくまでも代行としての役割である。
そこで私は八角親方を推す理由をヒヤリングしてみたが、人格面や代行という意味での適性を推す意見は出てきたものの「次代の大相撲をかじ取りする上での方針に共感するから」という、最も求められる適性については言及されなかった。私自身記事を発掘してみたものの、この部分は分からなかった。そしてそれは、候補として名前の挙がっている親方全員にも言えることだった。
これでは「理想の上司(女性):1位 篠原涼子」みたいなものではないか。ポジティブっぽいイメージだけで判断していないだろうか。役回りだけで、何となく支持していないだろうか。
イメージではなく、何が出来るか。
そこで私は考えた。
理事長候補のマニフェストが欲しい、と。
課題ごとに各自の考えを明らかにし、比較可能な状態にすれば面白いのではないか。当然リーダーシップや派閥間の力関係など、理事長の資質は政策だけではない。そしてそれを開示することは、投票には意味も持たない可能性も有る。何故なら、一般人は投票権を持たないからだ。
理事長の候補者がそれぞれどのような方針を持っているか、投票権を保有している方が知っているとは思わない。もしそのようなことが明るみになっていれば、記事になるのが自然だからだ。つまり、マニフェストはそもそも彼らの投票行動さえ変化させる可能性が有るわけである。
更には、理事長候補者を集めた意見交換会が出来れば、これもまた非常に興味深いことだ。マニフェストの中には当然、出来るものと出来ないものが有る。論拠を提示しながら自身の政策について正当性を主張し、また相手の政策に穴が有ればそれを突いても良い。議論の中で、理事長としての適性も見えてくるのではないかと思う。
少し話が飛躍したが、要するに現状では理事長として必要な資質の中でもかなり重要な、政策に関する情報が決定的に不足しているのは間違いない。マニフェストは一つの方法だが、恐らく一番分かりやすい方法ではないかと思う。
特に私は、プロアマ交流やサポーター制度など、既に独自のアイデアを実行している貴乃花親方の考えに興味が有る。部屋の運営一つ取っても実行できているのだから、相撲協会の運営についても賛否は有れど、実行する力は大いに有るのではないかと思う。ひょっとしたら、このような施策を他の親方も持っているのではないか。
もし誰かが、一つのアイデアとして採用していただければ幸いである。
◇お知らせ◇
幕下相撲の知られざる世界のFacebookページはこちら。
限定情報も配信しています。