大相撲人気と「日本スゴイ」が結び付かぬ、これだけの理由。

この話、もう終わりにしたい。
だが、終わることは今のところ無い。
そう。
相撲ファンの大多数がこのように思っているという誤解についてだ。
外国人力士の活躍が快くない。だからこそ日本人横綱が誕生してほしい、と。
日本人力士を推す論調がNHKの放送で流されるから、そのように誤解する方も多いのだろう。確かにNHKの放送では稀勢の里に対する期待という方向で、話が展開されることが多い。アナウンサーは北の富士さんにそのように話を振る。そして、そうした意図を理解した上で、舞の海さんが話を膨らませる。稀勢の里ファンの北の富士さんも、そこに乗る。
館内では稀勢の里や豪栄道、琴奨菊が登場するとコールが巻き起こる。だが、外国人力士には起こらない。そうした全てを観て、彼らは言う。これは差別ではないのか?と。
そして最近、このような記事が掲載された。
日本スゴイブームの極み大相撲人気に覚える“ある違和感”
確かにそういう解釈は出来ないこともないと思う。ましてや普段から「日本スゴイ」に快く思っていない方は、NHKの論調やコールをそこに結び付けることも分かる。そして、一部の方の行為やメディアの論調を観て、「相撲ファンは」や「日本人は」として語りたくなるのだと思う。
「声援の多寡を決めるのは、「日本人力士」であるかどうかなのだ。」「中には「日本人力士がんばれー!」という、差別とも言える声援まで多数飛ぶ。」「大相撲はまさに「日本スゴイ」を感じるために、人気が急上昇したということである。」
日本人が日本の凄さを感じるために、筆者の言葉を借りると「日本スゴイ」と感じるために相撲を観る方が増えていて、それが人気の原動力なのだという。ただ言葉の解釈は人それぞれなので、私の所感を確認する前に一度原文を読んでいただきたい。
こうした意見は大相撲を普段観ない方は事実として捉えられる可能性が高い。そう捉えた方は、相撲ファンを快くは思わないだろう。そして、もし私が稀勢の里について語ったとしたら、私は差別主義者として理解される可能性が出てしまう。
これは大変困ることだ。
私はこの数年で数百人という相撲ファンの方と交流してきた。様々な思想をお持ちの方が存在してきたことも事実だ。偏った考え方に閉口したことも一度や二度ではない。
中には日本スゴイを感じるために、相撲を観ている方も居る。差別的な発言をしている方を目撃したことも有る。ただ、そのような方は極めて少ない。むしろ過剰に日本人力士や「日本出身力士」を推すと、多くの方が反発する。様々な考え方の方が集う、ツイッターのタイムラインをご覧いただければそのことがよく分かるはずだ。
外国人力士が、今の大相撲を支えてきている。そんなことは誰でも理解している。白鵬に対する批判は、支えてきた頃の姿とのギャップから来るものだ。言うなれば差別から遠いからこそ、フラットだからこそ指摘を受けている。
そして白鵬の時代が長かったからこそ、それを打破する力士の存在が求められてきた。差別意識が有れば、照ノ富士初優勝があれほど喜ばれることは無かった。あの時の照ノ富士が歓迎されたのは、白鵬の時代に挑む力士が登場したことに他ならない。今の照ノ富士に休場を求める声が絶えないのも、今でも彼に次の時代を築く期待をかける方が多いからだ。
日馬富士のファンも、鶴竜のファンも、これほど居るのかと思う程多い。そして、それ以上に白鵬を応援する方もまた、多く存在している。どこで誰が観ているか分からないし、どのような考えを持っているか分からないので、人前で力士の話をする時は言葉を選ぶようにしているのは、そういうことが原因である。
むしろ相撲を観て「日本スゴイ」で語ろうものなら、袋叩きに遭うことになる。私の記事を読んで、白鵬に対して差別意識を持っていると解釈されたことは星の数ほどある。だから、そうではないという伏線を記事の中に張り続け、そういう訳ではないということを言い続けるようにしている。そうでなければコメント欄が荒れ放題になってしまうからだ。それでも荒れる時は荒れるのだから、面倒なものである。
付け加えると、稀勢の里や豪栄道にコールが起こるのは応援団の方が先導しているためだ。一部力士にしかコールが起きないのはそういう理由である。日本人でもコールが起きない人気力士も居る。例えば栃煌山や宝富士、隠岐の海がそれに当たる。彼らは横綱相手でも勝つ可能性が有る。「日本スゴイ」を感じたいのであれば、一体何故彼らにコールが起きないのだろうか。
大相撲を語る上で、むしろ「日本スゴイ」はタブーである。コールが起こった時、そして日本人横綱待望論が語られた時にツイッターを見ればそのことがよく分かることだと思う。
幸いにも筆者の方とお話する機会に恵まれ、建設的な話をすることが出来た。こちら側の見方にも歩み寄る姿勢の有る方で嬉しく思った。だがこうした記事が出ることを考慮すると、私は事有る度に反論せねばならない。
場所中なのでそちらの話がしたかった。幕内経験者の幕下での苦闘や、次の大関について、そして期待を裏切ってしまった稀勢の里など、話題に事欠かない初場所だ。ただ、これは大事な話だ。ライターという立場とファンという立場の中間に居る私だからこそ、この話が出来ると考え、記事にした次第である。
それでもまだ、大相撲人気は「日本スゴイ」と思われる方が居ればご意見いただきたい。現場の声を踏まえたうえで、全ての質問に答える所存である。
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大相撲人気と「日本スゴイ」が結び付かぬ、これだけの理由。” に対して7件のコメントがあります。

  1. yok より:

    自分は他の格闘技ファンです。 相撲に限らずネットに溢れる「日本スゴイ」にはウンザリです、都合の良い処だけ嬉々と語り都合の悪い処は見て見ぬ振り、これ典型的半島文化なのに日本人が何故真似するのか理解出来ません。 「日本スゴイ」に便乗してその時調子の良い日本人力士にスポットを当て、ヒーローに祭り上げるをやっていたら、特別相撲に興味の無い自分でも知っている北の海さんや千代の富士さんの様な横綱は誕生しないと思うのですが。

  2. 逆張り体質 より:

    双羽黒(北尾)ガンガレ

  3. けいた より:

    小林よしのり氏のブログ読んでみました。
    確かこのときって、白鵬と日馬富士が優勝を争った一番で、白鵬が手をかざして変化したら、触れられずに日馬富士が土俵下に飛んでいった一番のことだと思います。
    おそらくは、外国人力士が嫌いというわけではなく、どう頑張ったところで日本人の美意識(横綱は正々堂々と受けてたつ、みたいな)は外国人には理解されないんだから、それなら鎖国しろ!と言っているようです。
    日本人、外国人どちらかが悪いというわけではなく、育ってきた文化、慣習の違いが問題なわけで、おそらくは解決できない問題ではないでしょうか。

  4. nihiljapk より:

    小林さんの主張ですか・・・いろんな方が居るのでそれも一つの意見かなと思っています。ただ、私には私の意見が有るので、それを大事にしていきたいかなと。

  5. nihiljapk より:

    小林さんの真意を知りたいところですね。そこからかなと

  6. nihiljapk より:

    日本スゴイと相撲は結び付かないですよ。
    なにせ10年日本人が優勝していないのです。
    日本スゴイをやろうとする方は発狂しますね、これ

  7. nihiljapk より:

    そもそも全体論として日本スゴイと日本人力士が結び付けられてはいないので、その心配は不要ですよ。

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