衝撃。

夜勤前に偶然点けていたBSで放送されていた幕下相撲。
別に観るでも観ないでもなく、
朝の連続テレビドラマ小説状態で流していた私。
観客など殆ど誰も無い館内では
行事のよく伸びる声が館内にこだまする中、
テレビ放送して良いか微妙なレベルの相撲が
ベルトコンベアから運ばれては終わり、
そしてまた運ばれるような感覚で粛々と進められていた。


勿論私は観てはいるが、
画面上で起きていることに対して気にも留めていない。
むしろ考えていたのは
・その日の業務をどう進めるか?
・今期の目標のリカバリをどうするか?
・体臭がキツイ同僚にどう気付いてもらうか?
ということである。
実に仕事熱心なのだ。
そんな中のことである。
仕事熱心な私はテレビそっちのけで
自分のするべきことについて頭を整理していた時のこと。
アナウンサーが読み上げた信じられない言葉が
幕下相撲の扉を開けたのである。
「東のハキアイは3勝3敗ですが・・・」
?!
え?
今確かに「ハキアイ」って言ったよね??
聞き間違いではないかと思い、もう一度実況を
聞こうとすると、今度はとんでもない活字が躍る。
東28枚目 吐合
…衝撃である。
自らの名前に「吐」というマイナスワードを入れる力士。
このようなチョイスをする人を見たのは、
在りし日の「悪魔ちゃん」の両親以来である。
その日の業務など完全にぶっ飛び、もう私はこの
珍名力士にクギ付けである。
最早、完全に吐合の虜なのだ。
「吐」という字を背負い、十両目前で凌ぎを削る吐合。
なぜそんな名前を自ら選んだのか?
本名なのか?
もしそうだとしたら、小学校の頃に苛められなかったのか?
テストの時も氏名欄に「吐合」と書いていたのか?
両親も吐合なのか?
印鑑にも吐合って書いてあるのか?
様々な憶測が頭の中を駆け巡る。
テレビ上で行われているこの壮大な革命に気づき、
衝撃を受けているのは私だけなのだろうか?
意味のわからない興奮を覚えるも、
誰にもこの感動と衝撃を伝えられない私。
とにかく、この吐合とは何者なのだろうか?
そう。
この壮大な謎掛けを解く権利があるのは、
恐らく私だけなのだ。
調べ上げて、この衝撃を共有したい。
テレビ画面では
一方的な内容で負け越し
が決まった吐合が大写しになる中で、
私はそう考えていたのである。
続く。

衝撃。” に対して1件のコメントがあります。

  1. 夕焼け より:

    はじめまして
    面白いです。相当面白いです。他の記事も今から読みたいと思います。

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