稽古に1度しか行ったことの無い私と6名が見学に行ったら、予期せず尾車部屋に到着していた。後編。

300万アクセス記念企画ということで、
稽古見学についてFacebookで募集し、人数を限定して
観に行くことにしていた。
前もって約束を取り付け、その部屋を訪ねるも
まさかの「稽古はやってないんですよ。」
途方に暮れてたどり着いた尾車部屋で、
辛くも見学に成功。
稽古を見学していると、関取衆は居ないものの
6人の力士が申し合いをしている。
2人のベテラン力士にしごかれる、ショータ君という名の若手力士。
吐息に悲鳴のニュアンスが入り、
そして、稽古が苛烈を極めて悲鳴そのものになる。
先輩力士のゲキに応え、殆どが上手くいかないのだが、
体が限界を迎えたその時、素晴らしい一押しを見せた。
言葉を失い、感銘を受けながら帰る一同…


ほぼ初対面の相撲ファン7人。
さすがは相撲ファンだけあって、
相撲名鑑を忍ばせている方も数名。
今日見た力士のしこ名や生年月日から、
どのような力士かを語り合う。
あのベテランは、錦風だったのか!
え?飛燕力ってモンゴル人じゃないの?
ショータ君は三宅っていうのか。
などという会話で盛り上がる一同。
大江戸線組と半蔵門線組に分かれて、解散。
半蔵門線組の私を含めた4人は、
やはり今日の稽古の話題で盛り上がる。
何故あんなに稽古で頑張れるのか。
そして、ベテラン達はあそこまで献身的に付き合うのか。
怪我に対しても凄く敏感で、また
優しさを表に出していたのか。
そこで、一人が凄いことに気付いた。
「錦風って、最高位幕下筆頭ですよ!」
え?
そうなのか!
だとすると、あの土俵での態度というのは
全く違う意味を持つことになる。
錦風。
昭和53年の早生まれなので、学年的には昭和52年。
中卒での入門で、序二段・三段目を5年で通過し、
平成13年7月場所を幕下筆頭で迎える。
3勝3敗で迎えた12日目。
これを勝てば、夢にまで見た十両という一番で、
彼は十両の泉州山に敗れてしまった。
そしてその後、錦風は幕下一桁番付から落ち、
12年の歳月が経過した。
だが、今年で36歳になる彼は、まだ相撲を取り続けている。
何故彼は相撲を取り続けるのか。
夢の続きを見たいから?
死に場所を探しているから?
それはわからない。
だが、こうした過去を経たうえで、
様々な思いを抱きながら錦風は若手に対して
常に献身的なのである。
何という話だろうか。
ここにもまた、吐合が居たのだ。
相撲を取り続けることは、それだけで意味を持つ。
後輩に対して生き様を見せることが、
部屋にとっての財産なのである。
そうしたドラマを持つ者たちが集う世界、幕下。
諦められない男達のドラマを、見続けたい。
錦風の生き様を思いながら、私はこの残酷で
素敵な世界の凄さを実感するのであった。
◇特報◇
「幕下相撲の知られざる世界」では300万アクセス記念ということで
第二弾イベントとして9月28日にオフ会を開催します。
日時場所は未定ですが、参加ご希望の方はプロフィール欄を
参照のうえメールをご送付ください。
ちなみにFacebookページです。
限定情報も配信しています。
https://www.facebook.com/nihiljapk

稽古に1度しか行ったことの無い私と6名が見学に行ったら、予期せず尾車部屋に到着していた。後編。” に対して1件のコメントがあります。

  1. きしめん より:

    私と同世代の錦風。
    本当に相撲が好きで、おそらく番付が下がろうが、相撲を取れるかぎり一日でも長く取り続けたいのでしょうね。
    錦風や翔傑、鳥羽の山…はともかく、昭和51年世代の序ノ口・桃智桜は、どのような心境で、土俵生活のほとんどを序ノ口の土俵に捧げているのだろう??
    志免錦みたく、相撲は滅法弱くても、高砂部屋のちゃんこ長としてなくてはならない重大な理由があればいいのですが、ただの話題性だけで終わってほしくないですね。

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