実力者の不振と不在が意味するもの。優勝のボーダーラインが上がると、白鵬の対抗馬になるのは誰か。
琴奨菊が本日の取組の最中に負傷した。
実は今場所星を伸ばすのではないか?と予測を立てており、
そのことも含めて一つ記事を書くはずだった彼は、
あの尋常ではない痛がり方を思えば、この後の13日間
出場するにしても苦戦は免れられないところだろう。
鶴竜は良くも悪くも鶴竜で、
大きく星を伸ばすこともあまり無い反面で
本当に苦労して勝ち越すこともあまり無い。
現在の琴欧洲は残念ながら成績的にも
豪栄道や栃煌山と同格、もしくは少し下という状態であり、
永く大関を務めたことにこそ、彼の存在意義が有る。
3大関が、この段階で優勝争いの鍵を握らないという
状況に陥っている。
上位の実力者が星を伸ばさないとなると、
彼らの地位が危ういこともさることながら
実は別の問題が発生する。
そう。
優勝のボーダーラインが上がるのだ。
大関陣が星を伸ばすということは、
彼らと横綱、そしてそのほかの力士の勝率は
必然的に下がることになる。
勝率が下がれば、優勝争いに参戦する力士の
成績も下がりやすくなる。
優勝に求められる成績が低ければ、
それだけ優勝に関与できる力士の数も増える。
だが、ボーダーラインが上がるとなれば、
その逆が発生する。
勝ち続けられる力士は、限られているのである。
例えば、稀勢の里の最高成績は13勝2敗である。
もし彼が今の実力で優勝するとなると、
13勝2敗で優勝しなくてはならない。
全勝が居れば、1敗力士が居れば、彼はベストを尽くしたとしても
優勝圏外に転落してしまう。
例えば平幕優勝は、後半に三役以上の力士と対戦するため、
実力以上の相撲を毎日取らなくてはならない。
全て勝つことは難しい。
周囲がある程度敗れなければ実力的にも負けない力士の方が
相対的に上になる。
大関陣がこの状況だと、ただでさえ低い
白鵬が敗れるシナリオも、減ってしまう。
つまり、今場所で白鵬を上回って優勝するには、
勝ち続けることは必須となる。
今の相撲界に、白鵬以外で全勝ないしは14勝できる力士が
一体どこに居るのだろうか?
居た。
一人だけ、居た。
…だが、一人だけなのだ。
最近全勝優勝の経験の有る、実力派力士の存在は。
今回の分析は、あくまでもこれまでの成績を踏まえた結果である。
だから、今後の急成長に関しては、この予想が意味を成さない。
そんな力士の成長にも、私は期待したい。
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