「相撲界は2年先が闇」はもう古い?今の十両は、かつての幕内下位?激化しつつある競争を、昨年の番付と比較して考える。
昨日名古屋場所を観戦してきたのだが、
当然のように朝から可能な限り目を通してきた。
大熱戦は少なかった、という意見も多かったが
初日とはそんなものではないだろうかとも感じた。
むしろ初日の取組がどのような影響をもたらすのか、
そこからどのように修正するのか、
15日をトータルで観た時に鍵となるのが
序盤戦なのではないかと思うのだ。
さて、初日の取組自体に対する感想については
一つ一つ検証したいところではあるのだが、
ざっくりと相撲を観た感想として一番の驚きが有った。
十両。
これ、幕内の下位じゃないの?
取組内容について、レベル的には1年前の幕内下位と
そんなに変わらないように思えてならない。
十両には十両のレベルが存在し、幕内から落ちてくる力士は
そこに達していないからだと認識していた。
だが、それにしてはどうも違う。
そんな想いをモヤモヤと抱いた状態で、愛知県体育館を後にした。
そして改めて考える。
番付表に目をやる。
これ、幕内下位の力士が十両に居るのでは?
そう思った私は、検証してみることにした。
似たデータを検証した際、幕内・十両で実は2年でおよそ25%。
4人に1人が入れ替わっているというデータを掘り起こしたことが有った。
1年前と比較して、一体どれだけの力士が入れ替わったのか。
それにしては、少し様子が変わったのかもしれない。
そして私は、このような記事を書いたことが有る。
「把瑠都引退。遠藤の台頭。白鵬独裁政権。相撲界は、2年先が闇。」
すると、新たなトレンドが判明した。
なんと、昨年と比較すると幕内の顔ぶれは12人が入れ替わっているのだ。
数字にすると、28%。
つまり、4人に1人。
その入れ替わった12人は、以下の通り。
【引退した力士】
琴欧洲
把瑠都
阿覧
【幕内からの降格組】
富士東
佐田の富士
千代の国
栃ノ心
琴勇輝
玉飛鳥
翔天狼
舛ノ山
大道
十両に居る、昨年幕内だった力士達は9人。
しかも、加齢などの衰えが顕著な力士は確かに居ない。
ちなみに2013年の場合は6人、
2012年の際は7人。
入れ替わった力士の数は、実に2倍。
そして問題は、誰が昇進したか。
【十両以下からの昇進】
豊真将
大砂嵐
千代鳳
照ノ富士
栃乃若
佐田の海
鏡桜
荒鷲
遠藤
旭秀鵬
東龍
千代丸
これを見て気付くのは、元々幕内と十両の
ボーダーラインに居た力士ではなく、
幕内に定着するべき力士が上って来たということ。
大砂嵐、千代鳳、遠藤、照ノ富士といった
次代を担うスター候補生も居れば、
鏡桜、荒鷲、東龍といった地道に力を付けたモンゴル人力士も居る。
そして、怪我から復調した豊真将、栃乃若。
幕内は、どうやら1年前と比較して競争が熾烈になってきたようだ。
同じ幕内でも、例えば隠岐の海や豊ノ島、そして高安は
上位から下位に地位を落している。
彼らもさほど内容が変化しているようには思えない。
そう考えると、これだけ大変な争いが展開されている
幕内に復帰した若の里というのは、我々が想像した以上に
偉業を成し遂げているのかもしれない。
1年で変化した、大相撲の潮流。
もはや人材の入替は2年周期ですらない、競争社会のリアル。
来年は誰が昇進してくるのだろうか。
ちなみに荒鷲は昨年のこの時期、幕下11枚目。
佐田の海は幕下19枚目。
彼らがこの地位に居ることを誰が想像しただろう。
1年というのは、それほど状況を一変させるのである。
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