逸ノ城に萌えるのと、安美錦に萌える理由は根本的に異なる。力士萌えを3タイプに分けて考える。

最近、相撲女子(スージョ)の話題の中で、「力士と萌え」というテーマがよく出てくる。
「ジャンクスポーツに出ていた逸ノ城はモンスターではなく、そのギャップに萌えてしまった」とか、「安美錦のコミカルな表情に萌えた」という感想は、至るところで観られる。安美錦を「あみたん」なんて呼び方をするのは、正しくこの角度から来るものだろう。
そして最近驚くのが、今まで萌えの一面をあまり見せてこなかった力士にまでこの動きが拡大しているところだ。福祉大相撲でさえ「角界のマツコ・デラックス」なる異名で紹介された宝富士がバラエティ番組で「たーたん」なる渾名を拝借し、最近では「マツコ」ではなく「たーたん」で呼ぶファンも増えている。
「力士は土俵を降りたら全方位的に萌えの存在である」とは、当ブログ開設以来語ってきたことで、豆まきにしてもバラエティにしても、土俵での姿と異なる一面を見せることによって我々は大きな衝撃を受け、その姿に萌えるわけである。
ご飯を食べても、普通の話をしても、ただ笑っているだけでも土俵の姿とは異なる。土俵の印象が強いだけにギャップが生まれやすく、ギャップの数だけ萌えが生まれる。力士というのはそれだけ特殊な存在なのだと気づかされる。
だがこの「力士と萌え」というトピックなのだが、一口に萌えという言葉で片付けられないものだ。例えば、逸ノ城の萌えと安美錦の萌えは根本的に異なる。
前述の通り、逸ノ城の萌えはモンスターと称されながらも素朴な青年であるためだ。そして、安美錦は機知に富んだ言動を見せるためである。つまり逸ノ城の萌えは彼の人柄に依るものであり、安美錦の萌えは彼自身のキャラクターを逆用したものだ。
萌えを産み出す一つ目のポイント。それは萌えを自ら演出しているか否か、である。
逸ノ城の場合は、天然である。そして安美錦の場合は、作られたキャラである。まずこの点に於いて彼らは異なるのだ。
天然サイドの力士として思いつくのが、千代丸・千代鳳・大砂嵐・照ノ富士と言ったところであろう。このジャンルの方を他に考えてみると、芸能界で言えば綾瀬はるか・日本ハムの糸井といったところだ。彼らは計算せずにほつれを見せるので、そこにギャップが生まれる。そして、自然にほつれることによってキャラクターに対する信頼関係も生まれる。
自ら演出しているサイドの力士として思いつくのが、豊ノ島・勢・旭天鵬・臥牙丸と言ったところであろう。他ジャンルであれば、芦田愛菜・西武のおかわりくんといったところだ。彼らはキャラクターを既にファンと共有している。そしてそのキャラクターの範囲で意図的にほつれを演出する。キャラクターを自ら演じ、そして萌えをも演出しているのである。
だがキャラクターに応じて誰に対しても萌えるかと言えばそうでもなく、それはキャラクター演出の要否との関連性を問わない。
例えば鶴竜はキャラクターを演じていない側の力士ではあるのだが、一つ一つの行動に萌えるかと言えばそうでもない。鶴竜は決してほつれるタイプの力士ではないからだ。同じように白鵬も土俵外でのキャラクターは明確だが、彼は自らほつれを演出しない。どちらかと言えば完璧な姿を演出する力士だからだ。
つまり二つ目の軸として、ほつれの多寡という要素が浮上する。そしてこれを資料化したのが以下の図である。
①が天然故の逸ノ城型萌え、②が演出する安美錦型萌えだ。だがこの図を見て気付くのは、実はほつれが多ければ良いというものではないことだ。
考えてみると、稀勢の里や時天空に萌える瞬間が私には有る。むしろこの萌えの中で一番私が好きなタイプの萌えではないかと思う。彼らはいつもほつれる訳ではない。たまにほつれるのだ。
普段明確なキャラクターが有り、ある意味で演じている彼らがキャラクターを維持できなくなる瞬間。完成度が高い力士が生身の人間としての一面を垣間見せてしまうところこそ、最強の萌えではないだろうか。この萌えは図の中でも非常に狭い③の領域に位置している。
あくまでも自分で萌えを演出するのではなく、誠実にキャラクターを遂行しながら意図せずほつれてしまうという構図。萌えを喜ばれると、つい萌えを演出して喜ばせたくなるのが人の常なのだが、その中でキャラクターを維持するという選択を取ることは今の時代あまり無い。恐らくそれは、90年代以降に面白さが全国的に求められるようになった影響ではないかと思う。
どのような萌えが好きか、構造を把握すれば友人に勧める力士も絞られてくる。相撲観戦が更に面白くなるのではないかと思うのだ。相撲と萌え。あなたはどの力士が好きですか?一度今回の図をご覧いただければ幸いです。
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逸ノ城に萌えるのと、安美錦に萌える理由は根本的に異なる。力士萌えを3タイプに分けて考える。” に対して1件のコメントがあります。

  1. hagurohuji より:

    私が萌えるのは照ノ富士です。
    重い腰を生かした怒涛の寄り身で、相手をねじ伏せる荒々しい相撲と打って変わって、普段の照ノ富士はものすごくおっとりしたしゃべり方で個人的に好きです。
    格上相手にもがっぷり組んだら、腕を決めにかかる剛腕もプライベートは優しそうですね。

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