明徳5四球から考える、相撲に於ける暗黙の了解への向き合い方とは?前篇

明徳義塾高校が甲子園出場を決めた。
そして驚くべきは、そのプロセスとして
高知県予選の決勝戦でキープレイヤーとなる
対戦相手の4番打者を勝負どころでの敬遠を含む
5四球を与えてのものだったという。
明徳義塾高校による5連続敬遠と聞いて思い出すのは
20年前の対星稜高校戦での松井秀喜への対応である。
あの時、球場の誰もが松井秀喜の怪物ぶりを
観るために足を運んでいた。
そして、テレビの前の視聴者の大半もそこが焦点だった。
だが、明徳義塾高校は彼との対戦を避けた。
勝ちを手にした後で明徳義塾高校を待ち受けていたのは
バッシングであった。


教育の一環としてのクラブ活動で、
敬遠とは卑怯ではないか。
正々堂々と勝負すべきではないか。
勝てば何をしてもいいのか。
この騒動は社会現象にまで発展し、明徳義塾高校の
名誉は地に落ちた。
こうした過去を踏まえた上で、
明徳義塾高校はまた同じ作戦を取ったのである。
だが考えてほしいのは、
この作戦は誰もが思いつくはずなのに、
明徳義塾高校だけが取っているのだ。
それは何故か。
そこには、極めて大きなリスクを伴うからである。
そして、この問題を通じて私が感じたこと。
それは、敬遠のような暗黙の了解に対して
どのように向き合うべきか?
ということである。
キープレイヤーを毎回敬遠する。
つまり、5連続で単打を打たれたに等しい
権利を与えて、チームでも強打者とされる
5番打者を相手にしなくてはならない。
1塁ないしは2塁・3塁にランナーが居る状況の中で
5番打者を5回相手にする。
ヒットを許すことはおろか、バッテリーエラーも
致命傷になりかねない状況である。
この中で中心打者を完璧に抑えるという
極めて難解な対応を迫られるのだ。
4番打者を抑えることを避けると、
5番打者との対戦に於いて大変なリスクと
プレッシャーが伴うということがお判りいただけただろう。
ましてや明徳義塾高校は20年前にあのような
批判を受けた過去が有る中で、
同じ作戦を取ったということは
選手にとっては大変なプレッシャーで有ったことは間違いない。
この作戦に共感できないという人が多いことも事実である。
そして、私も釈然としない立場から本件に向き合っている。
だが、だからと言って彼らが向き合った
リスクやプレッシャーについては正しく評価しなくてはならない。
スポーツというのはこのように、
ルールには明記されていないが暗黙の了解として
あまり推奨されていない対応が数多く存在している。
そしてそれは、相撲に於いても同様である。
立ち合いの変化、張り刺し、
勝負が決まった後での技、などなど、
枚挙に暇が無い。
これらがあまり推奨されないのには相応の理由が有る。
それは一体なぜなのか。
続く。
【追記】
当初今回の明徳義塾高校が「5敬遠」をした、
という記述をしておりましたが、
敬遠ではなく四球だったということで訂正しております。
明徳義塾高校関係者ならびに
当ブログを読んでくださっている方に
誤認識を与えてしまったことにつきまして
お詫び申し上げます。
申し訳ありませんでした。

明徳5四球から考える、相撲に於ける暗黙の了解への向き合い方とは?前篇” に対して9件のコメントがあります。

  1. Y武 より:

    まず、ニュース記事をちゃんと読んで下さい。
    どこにも「今回の大会で五打席連続敬遠をした」とは書いてません。
    「20年前の五打席連続敬遠の再来」のような扱いの記事ではありますが、
    今回の決勝戦の作戦はあくまで「6打席中5打席が四球」です。
    この件に関しては、明らかに貴方の日記が間違っているので、
    まず、春野球場で見てきましたさんに謝罪するのが先ではありませんか?
    (最初の3打席が戦略四球か否かは主観の問題もあるでしょうが、
     それ以上に貴方がニュース記事を読み間違えてることの方が問題です)
    まだ貴方の主張の結論が書かれていないので、
    日記内容に関して賛否を述べることは出来ませんが、
    せっかく面白そうな記事なのに、
    逆ギレで台無しにしてしまうのは非常に勿体ないです。

  2. なの。 より:

    ボクは誰を何回敬遠しようと構わないと思います。
    ところで、朝青龍の出身校も明徳義塾なんですよね。
    何か関連はあるのでしょうか。

  3. スポーツ大好き より:

    その試合の中でのリスクという点ではありと思うが,その後の試合への影響というのは忘れてはならないと思います.
    確かに当時の明徳義塾は松井秀喜を擁する星陵には勝ちました.ただ,次の試合ではあっさり負けています.プレッシャーで自分たちの実力を出せなかった結果でしょう.
    甲子園大会という特殊な環境下で(観衆,視聴者の希望が球場の雰囲気に反映されるという点で),このような采配を振るった後の,選手のメンタル面のケアはどうなっているのか?という点で少し心配になります.
    話題先行になった結果,プレッシャーに押し潰され本来の実力を出せないまま散っていくのではあまりにかわいそうです.
    最終的な目標が甲子園出場ならこれでよいのかもしれませんが,明徳義塾という学校は甲子園でも更なる高みを目指していくべき学校のはず.
    目先の勝利を追い求める結果,大きな果実を取り損ねる,なんてことにならないよう,しっかりと準備をした上でのこの行為であれば大歓迎とは思います.

  4. 春野球場で見てきました より:

    5連続敬遠ではありません。
    敬遠は,延長10回と12回の2回だけです。
    その他に,第2打席はフライで,それ以外の3打席は四球でした。
    明徳先発の福永投手は制球が定まらず,敬遠できる状況には見えませんでした。
    第1打席と第3打席は結果的に四球となりましたが,ストライクも投げていて,敬遠ではありませんでした。
    6回からリリーフした福投手は,第4打席は四球で,10回の第5打席と12回の第6打席は敬遠でした。
    それから,この程度の敬遠策を取る高校は,世の中にごまんとあります。
    まず,事実を確認してから,ものを言って下さい。

  5. 春野球場で見てきました より:

    詳しく書きます。
    1打席目 1回表 福永投手 1死2塁
    2球目ど真ん中ストライク
    3球目外角高めのストライク球をファール
    4球目外角際どいコースでボール
    結果 四球
    1番打者に死球を与え,犠打で送られ,
    暴投2つで先制を許した後,3番打者にも四球を与え,
    暴投で2塁に進塁された後です。
    制球が定まらず,敬遠する余裕はなかったと思います。
    2打席目 3回表 福永投手 1死1塁
    1球目外角高めストライク球をファール
    2球目外角のボール気味のボールにバットが出かかるが止めてボール
    4球目外角高めストライク球を打ちレフトフライ
    結果 レフトフライ
    1死1塁の場面ですし,制球を乱している状況で,
    敬遠する考えはなかったはずです。
    3打席目 5回表 福永投手 1死無走者
    3球目と4球目は外角際どいコースがボールと判定される
    結果 四球
    試合前の決めごとでは,ランナーがいる場面で法兼を迎えたら
    ムリをしないことになっていましたが,
    走者がいないときは敬遠の指示はないはずです。
    4打席目 8回表 福投手 1死無走者
    3球目外角際どいコースがボール
    結果 四球
    3打席目と同じように,ランナーはおらず,
    ベンチの指示としては勝負しても良い場面でしたが,
    カウントが悪くなったので,バッテリーがムリに勝負しなかったものと思います。
    5打席目 10回表 福投手 2死2塁
    結果 敬遠
    この場面は,ほとんどの高校が敬遠すると思われます。
    結果的に,5番打者芝がヒットを打ちましたが,
    明徳レフト宋→サード伊與田の好中継でアウトにしました。
    6打席目 12回表 福投手 2死1塁
    結果 敬遠
    2死1塁ですから,この場面の敬遠は相当思い切った作戦でした。
    4番法兼を歩かせて,この日5打数2安打の5番打者芝との勝負でしたが,
    センターフライに打ち取りました。
    結論ですが,1~3打席の福永投手は敬遠ではないです。
    制球を乱していて,ランナーをためたり押し出しなどが怖い状況でした。
    福投手の4打席目は,敬遠ではなく,あえて勝負しませんでした。
    5打席目は敬遠で,ヒットを打たれましたが,好守備で凌ぎました。
    6打席目は思い切った敬遠でしたが,ここで勝利を手繰り寄せた印象です。
    12回裏の明徳は,1死2塁で,5回に同点打を打っている9番逸崎でしたが,
    高知は逸崎を敬遠すべきだったと思います。
    1番合田2番今里が当たっておらず,この2人で勝負すべきでした。
    12回表2死1塁で明徳が思い切って法兼を敬遠したので(ヤジもあり),
    12回裏1死2塁で高知は逸崎を敬遠しにくい空気があったかもしれません。
    結果的に,逸崎がサヨナラ打を打ちました。
    「5連続敬遠」などというありもしないことを話題にすることは,
    非常に不適切なことです。
    明徳は勝つために最善を尽くしただけです。
    高知も法兼もそのことはよく分かっています。
    延長12回の激闘を終えた選手達は,お互いの健闘をたたえ合っていました。

  6. Nihiljapk より:

    >なの。さん
    コメントありがとうございます。
    私としても、結局重要なのはその後の打者かと思っています。
    意図的であるか否かは別として、結局野球は
    個人に頼っては勝てない性質の協議だと考えます。
    作戦の是非は別問題ですがw

  7. Nihiljapk より:

    >スポーツ大好きさん
    コメントありがとうございます。
    確かにリスクはその時球場で発生していること以外にも
    波及しますよね。
    いろんなメリット・リスクを考慮したうえで
    何がその時のベストかを考える必要があると思います。
    しかし、明徳の監督は過去の苦い事例を踏まえたうえで
    ああいった作戦を取った。
    相当な覚悟が無ければ出来ないことです。
    私は是非はともかく、この勝負にかける思いは
    凄いと思います。

  8. Nihiljapk より:

    >亀山さん
    コメントありがとうございます。
    明徳の監督が勝負師で、その勝負に勝ってきた
    ということは素直に凄いと思います。
    何しろ是非はともかくこの作戦を成功に導いているわけですからね。
    そして、それを生徒が忠実に遂行している。
    5番バッターにはトラウマかもしれませんが、
    どのような競技でも結局このような場面は
    多かれ少なかれやってきます。
    責任に向き合い、そこからどのようなものを学ぶか、
    そして今後どう糧にしていくか。
    彼もまた、選ばれた人間だと思います。

  9. Nihiljapk より:

    >春野球場で見てきましたさん
    コメントありがとうございます。
    私はニュースでこの件を知りました。
    ご指摘は有り難いですが、ニュースとあなたのご指摘の
    どちらが正しいかを判断しろ、と言われても、
    あなたのご指摘を正しいというには客観性に乏しく、
    残念ながら現状では認識を変えることはできません。
    申し訳ありません。
    まずはニュースを配信したメディアに掛け合い、
    報道内容を訂正するようご指摘いただけますようお願いします。
    あと、私の記事はご確認いただけましたでしょうか。
    それについても感想をお聞かせいただけると嬉しいです。

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