鶴竜昇進で始まる、3横綱によるサバイバル。モンゴル人同士の仁義無き闘いに刮目せよ。

今日、鶴竜が満場一致で横綱への推薦を受けた。
これで鶴竜の横綱昇進は、決定的となった。
遂にモンゴル人3力士が横綱という、
前代未聞の未体験ゾーンに足を踏み入れることになったので
今回は近い将来どのようなことになるか
仮説を元に考えてみたい。
以前、日馬富士が昇進した際は、一時代を築いた一人横綱が
新たな横綱昇進した後何が起きたかを検証した。
結果、例外無く先輩横綱よりも後の横綱の成績が優秀で、
且つ成績横綱が怪我しやすくなるというデータを導きだした。
しかし、今何が起きているかは皆さんご存知の通りである。
データは傾向を捉え、今後発生することを検証する上で
有力な手掛かりとなるが、万能ではない。
人の歴史は、常識を打ち破ることによって
切り開かれてきたからだ。
というわけで、今回もあくまでも予測なので、
肩の力をいつも以上に抜いて読んで頂きたい。
まずは何が起こるかを、一言で表してみよう。


3人の中で一番成績が低い力士だけが、
大変厳しい立場になる、ということだ。
今までは日馬富士がかなり厳しい立場に居たのは、
ここ数十年の間、相撲界には常に一人は大横綱が君臨しており、
その集大成とも言える白鵬が完璧と言って良い成績を
残し続けたことに有った。
横綱に対するハードルは、実力のみならず
品格に関しても言及されるのが今の世である。
人として、力士としてより完璧が求められるのは
我々の感覚が麻痺しているからなのだ。
だからこそ、日馬富士は歴代横綱との比較で平均レベルの
勝率と優勝回数を誇りながらも厳しい目で見られている
現状が有る。
当然鶴竜に対しても完璧を求める声は挙がるだろう。
そして、最初は横綱相撲を強いることだろう。
ここで重要なのは、近頃の傾向として
持ち上げるにしても叩くにしても、
誰か一人が集中的にその対象となることである。
以前、日本人力士の最後の希望は稀勢の里が背負っていた。
だが、期待に応えられないとその興味は遠藤へと移った。
そして叩く対象はと言えば、数年前は朝青龍が担っていた。
その前は洗脳騒動後の貴乃花だった。
最近では数々の不祥事から相撲界そのものになり、
落ち着くと日馬富士に矛先が変わった。
余程3人の横綱がそれぞれの持ち味を発揮しなければ
上がり切ったハードルを満たせないことから
失望はバッシングという形で横綱を襲うだろう。
もし、白鵬が今の相撲を取り続けるなら、
日馬富士と鶴竜がそのターゲットとなる。
日馬富士はただでさえ安定感に欠ける。
不満の声も大きい。
だが、そんな日馬富士よりも鶴竜が劣ったとしたら
一体どうなるか。答えは簡単だ。
もし鶴竜が、彼の特性たる安定感を発揮したならば
日馬富士の不安定さは更に際立つだろう。
そして、今まで以上に不満の声は強まることだろう。
3横綱になることにより、一番成績が低い力士は
相対的に厳しい立場になり、苦しむことになる。
これは、避けられない。
つまり3横綱時代の到来で、横綱同士の淘汰が始まる。
そこにはモンゴル人同士の仁義など存在しない。
今場所の結果で、モンゴル人同士の互助を疑う声が上がっている。
少しでも疑われるような取組を見せれば、
批判と嫌疑の対象になることは避けられない。
ただでさえ、八百長問題で信頼の失墜した相撲界である。
モンゴル人にだけ甘い結末など、誰も許さないことだろう。
白鵬が鶴竜を潰せなかった結果、
各自がハイレベルな成績を残し続けることを求められる、
非常に厳しい時代が到来した。
3名の横綱による淘汰の時代の幕開けが、
更に異次元の相撲を実現するとしたら、
相撲ファンとしてこれほど嬉しいことは無い。
だが、一抹の寂しさを覚えることでもある。
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