貴乃花が関取を育てられない理由。2
平成の大横綱、貴乃花。
世間の小中学生がJリーグブームや
スラムダンクの爆発的なヒットで
サッカーやバスケに走る中、
旧時代の象徴ともいえる日本の国技・相撲で
数々の最年少記録を打ち立て、
そして長きに亘ってブームの牽引役として
相撲界に貢献し続けた。
その影響たるや凄まじいもので、
当時人気絶頂にして写真集「サンタフェ」で
話題をさらった宮沢りえと婚約に至ったと言うところにも
垣間見えるだろう。
今、堀北真希や綾瀬はるかと
稀勢の里や豪栄道が婚約する、
などということは何がどう転んでもあり得ないこと
だと考えると、貴乃花の凄さが判るというものである。
さて、貴乃花が失敗した理由なのだが、
第一の理由は実に身も蓋もないことだ。
そう。
引退直後に有望な若手が集まらなかったこと、である。
前回書いたように、通常引退直後の
人気力士の部屋には若手が殺到する。
現役時代の影響をリアルタイムで受けていることは
部屋選びの大きな決め手となる。
しかし、貴乃花は最初の段階で既に
関取しか育てられなかった。
このことが示すこと。
それは、貴乃花部屋には有望な若手が
入門しなかったという事実である。
有望な若手であれば、確かに幕下には壁は有るが
下積みを重ねることで自ら学習し、
そのノウハウと工夫を織り混ぜることによって
壁を乗り越えていくことは可能である。
素材が有望であれば有望であるほど
壁を乗り越えるために必要な要素は少なく、
努力一つで十両くらいには達するものである。
例えば高校時代から既にアマチュア横綱で、
大学時代に果ては大関か横綱か、
と謳われた久島海は確かに当時の期待からすれば
大幅な期待外れかもしれない。
だがそれでも彼は潜在能力は引き出せなかった
かもしれないが、それでも幕内在位を重ねることによって
現在は親方として立派に更新の指導をしている。
期待通りに行かずとも、素材が一流なら
ある程度の成績は残せる、ということが
今の事例からもお分かりいただけただろう。
つまり、これほどの知名度を有しながら
貴乃花は引退直後に既に弟子を集められなかった
ということが限りなく正解に近い仮説として
成立するわけである。
考えてみると、貴乃花は現役晩年から
既に様々な形でトラブルを引き起こしていた。
兄・若乃花との確執。
父・貴ノ花のと確執。
謎の整体師への傾倒。
知名度が高く、横綱としての実績が
素晴らしくても、相撲界で身を立てるために
一番賢い選択というのが貴乃花部屋入門、
ということはあり得ないことである。
そして、それを一番よく知っていたのは他でもない。
各界入り直前の若者達なのだ。
続く。