幕下力士・吐合の現在地。

私が幕下相撲のブログを書くきっかけは
再三説明しているように、幕下力士の吐合(はきあい)を
知ったことにある。
珍名故に目を惹き、今まで見たことの無かった
幕下相撲を、吐合を通じて見ることになった。
元学生横綱の吐合が、大怪我を負い、
番付外にまで転落し、
かつての相撲が取れない中でどうにか幕下まで戻り、
一進一退を繰り返して4年が経過した。
そして初場所の快進撃。
あと1勝のところで、同じく十両を賭けた
里山に一歩及ばず敗れてしまった。
だが、ここで吐合が見せた相撲は
彼のスタイルの到達点であり、8年の挫折がもたらした
芸術品とも言えるものであった。
さて、この後吐合はどうなったのだろうか。


負け犬だったロッキーは
人生するかしないか、という岐路に立ち
することを選ぶという、勇気ある決断をして
世界チャンピオンのアポロとフルラウンドを戦った。
試合には敗れたが、その後の続編では
世界チャンピオンを奪取した。
だが、ロッキーのモデルたる
チャック ウェップナーというボクサーは
結局ボクシングでは名を挙げられず
アントニオ猪木と異種格闘技戦で戦うなど、
色物に身を落とすことを選んだ。
吐合は、どちらかと言えば後者である。
快進撃の直後の3月場所。
自己最高位の幕下2枚目で迎えたのだが、
序盤から調子が出ない。
そして、場所途中で臀部に腫瘍が出来たことが原因で
休場してしまう。
5月場所からは3場所連続で3勝4敗。
気が付けば番付は幕下39枚目。
あれほどまでに素晴らしい相撲を取り、
そして高い精神性を見せたならば、
心情的には報われて欲しいものだが、
心情的な思い入れが結果に直結するほど大相撲は甘くない。
長期休場の要因となった膝のコンディションは
未だ上がらず、踏ん張りが利かないので
相手を追い込めないし、相手の圧力を止められない。
これが、吐合の現状なのだ。
力士に怪我はつきもので、怪我と如何に共存するか
というのは一つのテーマではあるのだが、
やっとの思いで作り上げたスタイルが
コンディション一つで再現不能というのは
あまりにも残念である。
いかなる結果であろうとも、幕下の楽しみを教えてくれた
吐合を私は追い続けるだろう。
そして、いかなる決断をしようとも、それは
彼の決めたことなので私は受け入れるだろう。
幸いにも今場所は自分の相撲が取れているように見える。
どのような結果が出ても受け入れる覚悟は有るが、
それでもやはり、よい結果を出すことを
一ファンとしては願わずには居られない。

幕下力士・吐合の現在地。” に対して1件のコメントがあります。

  1. sensho より:

    吐合関の現況よくわかりました。常幸龍関のようなきら星もいれば、吐合関のような泥にまみれながらも前進しようとする力士もいる。
    大相撲の根幹は、このような力士達に支えられているのですね。
    尚更周囲の環境が整備されることを願わずにはいられません。

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