大関取りにはタイムリミットが有る。
ここ1年で3人もの大関が誕生した。
鶴龍、稀勢の里、琴奨菊。
彼らが当初の期待に応えているか否かは別として
近年誕生していなかった、特に
日本人大関が久々に現れたという意義は非常に大きい。
一つの指標として3場所で33勝というラインが有り、
1場所で10勝するのも一仕事にもかかわらず
それと同等以上の成績を3場所続けて残すというのは
かなり難儀なことである。
これまで星の数ほどの大関候補が存在して、
その壁に挑んだものの、壁の高さに打ち砕かれてきた。
若の里、安芸乃島、琴錦、逆鉾。
彼等は小結関脇の在籍期間が長く、
その地位に居ても安定して勝ち越すことは出来てきたが
それ以上の成績を残すことは出来なかった。
では、今の力士に目を向けて
一体誰が大関を獲る資格が有るのだろうか?
私は大関に昇進した力士の成績を比較してみた。
すると、一つの傾向が有ることに気づいた。
そう。
幕内昇進から大関昇進までの期間である。
ここから分析すると、大関昇進には
明確な時間制限が有るということが判る。
以下は、大関昇進までに要した場所数である。
四股名 関脇 小結 前頭 合計
鶴 竜 8 5 19 32
稀勢里 10 12 20 42
琴奨菊 10 6 23 39
把瑠都 7 2 13 22
琴光喜 22 8 12 42
琴欧州 2 2 4 8
栃 東 17 5 11 33
魁 皇 21 11 10 42
雅 山 2 1 5 8
武双山 19 11 10 40
出 島 3 4 8 15
千大海 5 1 4 10
貴ノ浪 4 1 9 14
霧 島 2 4 42 48
小 錦 8 3 8 19
北天佑 3 4 9 16
朝 潮 9 4 14 27
若島津 4 1 7 12
琴 風 9 1 14 24
増位山 4 6 42 52
旭 國 6 3 24 33
魁 傑 13 8 15 36
大 受 1 1 14 16
貴ノ花 6 5 9 20
大麒麟 14 8 11 33
前乃山 10 2 12 24
清 國 12 7 15 34
実に93%の力士が、7年以内に昇進しているのだ。
力士として鮮度が高いうちに昇進を決めなければ、
怪我などの関係で突き抜けられなくなる、
ということなのだろうか。
歳月を経るに連れて、下の番付の相撲を取るようになる
というのが私の持論なのだが、
数字で実際に見ると、面白いものである。
ちなみに気になるのが現役力士の中で、
誰が大関としての資格を有するか?
ということである。
そこで、同じデータを現役力士で取ることにした。
四股名 関脇 小結 前頭 合計
妙義龍 2 1 4 7
阿 覧 1 2 21 24
栃煌山 3 4 27 34
豪栄道 5 4 21 30
豊ノ島 4 7 35 46
安美錦 6 7 59 72
朝赤龍 2 3 52 57
旭天鵬 3 9 71 83
若の里 17 9 55 81
碧 山 1 6 7
臥牙丸 1 13 14
若荒雄 1 13 14
豊真将 3 36 39
栃ノ心 4 23 27
豪 風 1 53 54
時天空 2 46 48
かなり衝撃的だったのが栃煌山や豪栄道ですら、
タイムリミットはあと2年ということである。
豊ノ島に至っては時間切れなのだ。
フレッシュさが必要だとすると、
データを参照すると現役力士の中では
妙義龍に可能性が有ると言えるのだが、
この後どうした成長曲線を描くかは判らない。
とすると、まだ三役に昇進していない力士、
千代大龍や常幸龍などといった顔の方に
可能性を見出すことになるのかもしれない。
しかし、単純なデータではあるのだが、
今後は幕内からの在籍期間と言う観点で力士を
見てみたいものである。
もちろん、可能性としては現役力士全員に大関になる可能性はあるわけですが、これはかなり有意な数字といってよいと思います。それとともに言えるのが年齢です。
横綱で言えば、大卒付出の輪島を除いて、皆22歳までに十両に上がっています。
そして、大関は全員23歳までに十両に上がっている。
これは単純に若くして、早くしてあがれば、それだけ大関取りや綱取りのチャンスが多い、ということとも言えると思います。妙義龍は新十両は23歳。このデータが100%であれば、大関の可能性はあるが、横綱はない、ということ。
もちろんそれを打ち破る可能性、打ち破れる外部環境というのもあろうかと思いますが、昇進してからの場所数、それと年齢、というのはすごく有意な数字と言って良いのではないかと僕は思っています。