相撲部屋の稽古に一度だけ行ったが、不運にも見られなかった私が再度稽古に行ってみた part4 とある若手序二段力士(ユージ)編
最近は横綱審議委員会に関する話題が多かったが、
横審審議委員会としての意見が出揃うまでに
まだ時間が掛かりそうなので、話を北の湖部屋の稽古に戻そう。
三段目力士の西内がなかなか申し合いに参加できないのを
痛いなら休め、と諭す元厳雄。
そうした部屋としての姿勢に衝撃と感銘を受けながらも
土俵上では稽古が続けられている。
あの時バケツを洗っていた好青年、
一心龍も参加している。
左前みつを取ると、かなり力強い。
体格がいいだけに力が入る態勢になると
相手は反撃の手を失う。
これで三段目上位なのか。
吐合が強く映るわけである。
私が熱心に目にしてきた幕下とは、
弛まぬ鍛錬の末身に付いた、到達地点だったのだ。
天一や吐合、一心龍といった力士達は
紆余曲折を経て自らの形を持っている。
だが、全員が全員そこまで到達しているわけではない。
厳雄が一際厳しく叱る力士が居るのだ。
「ユージ、そうじゃねえだろ!」
「ユージ、お前は何遍行ったら分かるんだ!」
彼はこのユージと言う名の力士に対して厳しい。
いくつか固有名詞が出てくるし、
入れ替わり立ち替わり申し合いが続くので、
誰が誰やらなかなか覚えられない。
だが、他の固有名詞よりも断然ユージに対する
態度が異なるため、ユージと言う名前を嫌でも
意識してしまう。
誰だろう、ユージって。
力士の中では恐らく身長が一番低いであろう力士。
しかし体格は、非常に立派なのだ。
力士に例えるなら、舛ノ山。
食べ物に例えるなら、鏡餅。
首に肉がめり込んでいるのでは?というくらい
筋肉の上に脂肪を限界まで装着したようなその身体は
突き押し相撲をするために生まれてきたような
特性を持っている。
立ち合いのスピードは速い。
もろ手で相手を止めて、回転数の多い突き押しで攻め込めば
自ずと勝機は広がるタイプのスタイルである。
だが、彼はなかなか勝てない。
なかなか突き押しが決まらない。
相手に攻めを許してしまい、気が付けば土俵際なのだ。
粘りはするが、最終的に負けてしまう。
このような繰り返しだったのである。
敗れる度に響く、ユージへの怒声。
怒られる度に細い声で「ハィ」「ハイ、スンマセン」と答える。
しかし、同じ間違いを繰り返してしまう。
突き放さなくてはならないのに、
突く手が相手の正面に出ずに
弧を描くように出してしまう。
これでは出足も止まらないし、相手を怯ませることも出来ない。
彼は自分の欠点を認識している。
だが、身体がついてこない。
欠点が修正できないと、分かっていないという扱いを受けてしまう。
これは非常に辛いことだ。
だから、同じ注意をし続けることになる。
今が耐える時なのだ。
見るからに若い彼は、ここから番付を上げられなければ
力士としての自分に見切りを付けることになる。
あと2年くらいが勝負。
誰がどう見ても必死に稽古するユージ。
だが、改善出来ないのでいつまでも怒られ続けるユージ。
見た目に愛嬌が有るところも舛ノ山似である。
恐らく、先輩からも可愛がられているのだろう。
この少年が、力士としてどのように成長するのか。
未来を予想すると楽しくもあり、不安でもある。
彼は一体どうなるのだろうか。
ユージこと遠州洋。
私は序二段の番付で、彼の名前を探し続けることになる。
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「序二段で彼の名前を探し続けることになる」
にちょっと興味を持って、今場所の番付を探してみました。
#自分は序二段でも下位、森麗あたりがうろうろする番付の相撲が結構好きなのです・・・
遠州洋さん、今場所は自己最高位の三段目49枚目なんですね。
勝ちこみようによっては十分幕下も見える位置。
このブログで分析対象になる日が来ることを期待して名前を覚えておこうと思います。