快進撃の裏に潜む、巨大な不安。エジプト人力士:大砂嵐を巡る、2つの懸念材料とは?中編
大砂嵐が好調である。
角界初の、アフリカ出身関取。
驚異的なスピードでの十両昇進。
加えて、ムスリム特有のラマダン。
寝て起きたら強くなるのでは?
と思うほど、日を追うごとに身体は大きくなる、
相撲の幅は広がる、対応力は増すという状況で、
明るい未来を期待して止まないわけだが、
不安材料が無いわけではない。
それどころか、彼の今後を左右しかねない
不安材料は大きく分けて二つある。
それは何か。
まず第一に、大嶽部屋である点だ。
先に断っておくが、私は別に大嶽部屋が悪い部屋だとか
親方に資質が無いと言いたいわけではない。
そのことは、最近大砂嵐の特集を観た方は
概ね理解できると思う。
大嶽部屋の特徴。
それは力士の数が極めて少なく、
且つ幕下以上の力士が大砂嵐も含めて2名であること。
同部屋所属の幕下中位の右肩上は悪い力士ではないが、
この規格外の怪物の弱点を白日のものとし、
また相撲の引き出しを増やすには
自分と同格ないしはそれ以上の実力を備えた力士との
反復訓練が必要となる。
今までは幕下以下だったために
右肩上でもその役割を担えたのだが、
更に上の実力を身に付けるには
もっと負荷を掛けねばならない。
稀勢の里が自身の部屋での稽古に終始したことが
成長を妨げている要因としてしきりに指摘されていたが、
同じ要因は大砂嵐にも言えるのである。
幸いにも近隣には北の湖部屋や尾車部屋、
錣山部屋といった、関取を抱える部屋が有るために
方法次第ではこの課題を克服することは可能だ。
だが、部屋固有の問題はこれに留まらない。
若くして部屋頭になったために、
同部屋で彼を律しにくくなってしまったのである。
関取は大砂嵐だけ。
当然部屋の経営は大砂嵐に依存することに成る。
収入は増加する。大砂嵐のお陰で。
こうなると不安なのは、周囲の力士や親方との関係性だ。
力士として高みを目指していない限り、
親方や現在の状況を感謝していない限り、
増長することが懸念される。
だからこそ、外国人力士を連れてくる時は
その人間性が重要視される。
日本人力士でも、この点に於いて問題を抱えていたが為に
暴走を止められず、才能を浪費して辞めていった力士は多い。
只のゴロツキに力士が務まらないのは
つまりこういう理由なのである。
親方は、果たして大砂嵐を律することが出来るのだろうか?
部屋の経営と言う観点で言えば、残念ながら
立場が強いのは大砂嵐の方である。
だからこそ、この問題は歪な構造を成しており、
またいつの時代も起こり得るのである。
稽古の風景を見る限りでは、大砂嵐は非常に素直で、
注意されるポイントに関しても決して悪気が有るわけではなく
知らないだけなのである。
気になるのは指摘されたポイントが修正されていないことが有る。
例えば、腰に手を当てたまま親方の話を聞いたり、
中腰にならずに親方の話を聞いたり、といった点。
悪気は無いだけに、単に理解していないのではないか?
と推測しているが、だとするとコミュニケーション不足なわけで、
これは改善せねばならない。
そして、次の問題も非常に深刻である。
また、今場所起こるかもしれないので、注意が必要なのだ。
それは一体何か。
続く。
自分より遥かに弱い兄弟子の森麗と分け隔てなく仲良くしているようならば、まぁ大丈夫な気がします。
フェイスブック等で、森麗とにこやかな表情で一緒に映っている写真が投稿されていますし。