稽古に1度しか行ったことの無い私と6名が見学に行ったら、予期せず尾車部屋に到着していた。中編。

300万アクセス記念企画ということで、
稽古見学についてFacebookで募集し、人数を限定して
観に行くことにしていた。
前もって約束を取り付け、その部屋を訪ねるも
まさかの「稽古はやってないんですよ。」
そういうことが有るということを知っていながら
最後の詰めが甘かった、私のミスであった。
途方に暮れてたどり着いた尾車部屋で、
外から音に耳を傾けていると、
偶然通りかかった関係者の方に声を掛け、
辛くも見学に成功。
稽古を見学していると、関取衆は居ないものの
6人の力士が申し合いをしている。
2人のベテラン力士にしごかれる、ショータ君という名の若手力士。
見ているこちらも力が入ってきて…


申し合いは続く。
ショータ君はベテランとモンゴル、そして
もう一人の生意気そうな若手を相手にし続けていた。
ベテランとモンゴルが相手では、後手後手になる。
次々と浮き彫りになる、ショータ君の課題。
ゲキを飛ばすベテラン。
いい態勢をキープするモンゴル。
打開しようと試みるショータ君。
そもそもの態勢が悪いので、そこからは
なかなか結果を出せない。
息が上がる。
それでもショータ君を中心とする申し合いは
終わる様子が無い。
キレが落ちるショータ君。
しかし甘えを許さぬ先輩は、課題を指摘し続ける。
表情が険しくなる。
と。
立ち合いが上手くいく。
自分の形でもう一人の若手を攻め立てて、
一気に寄る。
ショータ君を褒める先輩。
力士同士で歓声が上がる。
こういう部屋なのか。
明確に優しさを見せるイメージは無いので、
驚くとともに、戸惑う私。
結局ショータ君はその後、彼自身の形を
2回くらいしか見せられないままぶつかり稽古に移行した。
既にかなりの数の申し合いを経ているので、
体が動かないショータ君。
押す。
押すのだが、力が伝わらない。
土俵中央でベテランの足が止まる。
オラ、もう少しだ!
おい、頑張れ!
腰を落とせ!
掛け声に促されるように、何とか体を動かすショータ君。
だが、推進力はもたらされない。
すると、投げられてしまう。
もう一度、やり直し。
吐息が更に荒くなる。
そこに、悲鳴のニュアンスが含まれるようになってきた。
もう、止めてくれ。
終わらせてくれ。
ショータ君の吐息は、そう訴えかける。
だが、彼はぶつかり続ける。
やり直しを繰り返し、体は土にまみれる。
動きは鈍重になり、悲鳴はニュアンスではなく
悲鳴そのものに変わった。
固唾を飲んで見守る私達。
目を背けてはいけない。
上手くいかなくても向き合い続ける彼の姿勢に、
私達も傍観者ではなく参加者として思いを共有する。
頑張れ!
声には出さないが、先輩も、私達も一つの意思を持っているのだ。
力は入らないが、土俵中央まで押す。
そこから止まる。
この後で押せるか押せないかで、彼の一生は決まる。
なかなか押せなくて投げられてしまうのだが、
腰が伸び切ったその時。
ショータ君の腰が、膝が、力強く降りる。
そして、全身の力を推進力として、最後の一押しが出る。
見ている私達も、拳を握る。
ベテランは、それを以ってぶつかり稽古を終えた。
その後、息が上がり切ったショータ君を含む全員が、
すり足や腕立て伏せを一通り行った。
この壮絶な稽古に、柔道経験者と
ボクシング経験者の見学者も圧倒され、
ただ言葉を失っていた。
お礼を言い、尾車部屋を後にする一同。
初対面が多い我々ではあったが、この感激を
皆が思い思いに口に出し、その思いを深めていた。
本当に素晴らしい稽古だった。
ちなみにこの時、ショータ君は剣風、
もう一人の若手は竜風。
モンゴルは飛燕力。ちなみに純然たる日本人である。
そしてベテランの名は、錦風と言うことが分かった。
だが、この話はこれで終わらない。
帰りの半蔵門線の中で、一人の参加者が
とんでもない事実に気付いたのである。
続く。
◇特報◇
「幕下相撲の知られざる世界」では300万アクセス記念ということで
第二弾イベントとして9月28日にオフ会を開催します。
日時場所は未定ですが、参加ご希望の方はプロフィール欄を
参照のうえメールをご送付ください。
ちなみにFacebookページです。
限定情報も配信しています。
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