珍名力士：宇瑠虎太郎（ウルトラタロウ）。愛弟子にこの名前を付けた、親方の意図を考える。

宇瑠虎太郎（ウルトラタロウ）という名の力士が誕生した。
先日の記事ではないが、一寸先は闇である。
何が誰を有名にするか、まったくわからないものだ。
夜勤明けの私は目を疑ったが、ウルトラ少年の談話が
ヤフーニュースのトップで紹介されているのだから
これは紛れもない事実のようである。
相撲界に珍名力士が居ること自体はそう珍しいことではなく、
大嶽部屋の森麗や右肩上といったところが既に存在している。
言い方は悪いが、貴闘力の弟子だから、ということで
彼ら二人は妙に納得する部分も有るのだが、
この改名はどうにも分からない点が有る。
そう。
彼の師匠は、元北桜の式秀親方だからである。
式秀親方は、決して目立ちたいということや
思い付きだけでこのたけし軍団と見紛う名前を付けるような
無責任な人間では断じて無い。
そのことは力士を絶対に批判しない、
2時台のBS大相撲の解説を見た人であれば誰もが分かることである。
彼の解説は、愛情に満ちている。

最近では愛情が行き過ぎて、取組後に350点を付けてみたり、
照強の土俵上での回転数をアナウンサーと共に数えたり、
相撲界の松木安太郎になっている程だ。
誰よりも土俵上の取組を実況席から楽しみ、声を挙げ
手を叩く様は、なんとも微笑ましい。
国技館ではどの力士よりも親方よりも率先して
ファンサービスに取り組み、店頭に出てグッズを売り
握手にも精を出す。
相撲ファンならば、その姿を知っている。
そんな式秀親方が、この改名を決断したのだ。
郷里の両親から預かった大事な弟子に
「宇瑠虎太郎」である。
愛情に満ちた親方が。
…愛情に満ちた、親方が。
だとするとこの改名もまた、愛情ゆえではないだろうか。
これはあくまでも仮説である。
胸中は親方のみぞ知るところである。
この名前は、彼らの知名度を爆発的に向上させるという
とてつもなく大きなメリットが有る。
序二段に過ぎない森麗が、相撲ファンでなくても
名前だけは知っている現象が起きるのはそれ故である。
その反面で、こうしたネーミングに対して
拒絶反応を示すファンも一定の割合で存在する。
名前に対して共感しないが故に、
彼らに対して理解を示さないという行動も出てくる。
しかし、そもそも彼らは何物でもなかった。
理解されるという次元の存在ではなかった。
それが知名度を得ることによって、衆人の知るところとなった。
宇瑠虎太郎君はこれから、様々な形で注目を集めることになる。
あとは、彼次第なのである。
彼がどのような土俵人生を見せるのか。
土俵の上から、どのような生きざまを見せるのか。
式秀親方は、改名によって彼にチャンスを与えてくれた。
もし彼が相撲界で名を成さなくても、
一般社会に組み込まれたとしても、知名度は彼を助けることになるだろう。
だが、知名度は彼がそれに値しない時、全く逆の方向に作用することだろう。
最後に。
私には、その個性的な名前故に注目したある力士が居る。
最初は彼を見るたびに半分笑っていた。
だが、度重なる怪我と番付外への転落、
そして自らの運命からも、土俵上の対戦相手からも逃げずに
立ち向かうその姿勢に、深く感銘を受けた。
このブログは、その力士のお蔭で2年半も続けており
私は土俵上からあらゆることを学んだ。
そして、様々な人と出会い、それらは
今の私を支える大きな財産となっている。
その力士が誰かは、もはや語るまでも無いだろう。
ちなみに式秀親方は、その力士の兄弟子である。
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