十両下位の力士は幕下力士の夢を壊し、生き残る。北磻磨の土俵姿勢からその厳しさを考える。

私はタイトルの通り、相撲の厳しさと素晴らしさを
幕下力士のストイックな世界から学んできた。
だが、そのことは語られていないことであり、
少しでも多くの人と共有できれば、と思い
ブログを開設するに至ったわけである。
その中で、読者の方から興味深い感想をいただいた。
私は十両の相撲が好きで、幕下に落ちるかもしれない
状況の中、精一杯取る姿が好きなのだ、と。
だから、さらにその下の幕下力士の生き様という
切り口は斬新だけど、言いたいことはよく分かる。
私が伝えたいことを実践しているのは、
決して幕下力士だけではない。
場合によっては十両力士の方が有る意味で
ストイックと言えるのかもしれない。
そして、偶然なのだが、私とその方は注目している力士が
一致していたのである。
北磻磨。
北の湖部屋に所属する27歳。
120キロにも満たない体で、直線的な相撲を取る。
彼の相撲には、妥協が見えない。


パワーも、体格も、他の力士に劣るのは事実である。
足りないものを、どう埋めるか。
答えは非常にシンプルだった。
自分の相撲を、磨き続けたのである。
ただひたすら前に出る。
相手に引かれても、変化されても、
その姿勢が変わることは無い。
観ていて、これほど気持ちのいい相撲は無いのだが、
彼の置かれた状況はある意味で幕下力士よりも厳しい。
そう。
十両と幕下の当落線上なのである。
幕下力士は、夢のため一番一番に自分の全てを懸ける。
だが、技術も肉体も、そして精神的にも未熟なので
どうしても十両力士には劣る。
だが、これが一生の懸った一番だとすればどうだろうか。
その背後にはその力士だけではなく、
彼らをこれまで支えてきたバックボーンとの対戦になる。
彼らを倒すには、覚悟が要るのだ。
そうした力士を倒すことは、場合によっては
将来を叩き潰すことに繋がる。
事実、里山に敗れた吐合も、泉州山に敗れた錦風も、
その後十両には昇進できず、齢を重ねた今もなお
現役にこだわり続けている。
北磻磨が居るこの番付だと、そうした力士と向き合わざるを得ないのだ。
人の夢を喰らい、しぶとく生きる。
これは、並大抵のことではない。
9月場所で北磻磨は、2人の力士の夢を壊した。
魁、そして、海龍。
3勝3敗で迎えた7番目の相撲で、厳しすぎる役割を担った。
だが、そんな北磻磨も、大砂嵐の幕内昇進が懸った一番に敗れ、
自らも奈落に叩き落された。
夢を壊し、自らの夢も壊される。
何という世界だろうか。
そうした厳しい状況を生きるために、
あのストイックな取り口を続けているのだとしたら、
彼にとって相撲とはいったい何なのか。
十両下位にも、幕下とは異なるが
ある意味で幕下よりも過酷な世界が有る。
北磻磨の相撲から、この位置の相撲の魅力に触れてほしい。
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十両下位の力士は幕下力士の夢を壊し、生き残る。北磻磨の土俵姿勢からその厳しさを考える。” に対して1件のコメントがあります。

  1. きしめん より:

    北はり磨…十両では厳しく幕下では頭抜けた存在。
    あの小さい体で関取になったこと自体、素晴らしいことと思いつつも…
    やはり、十両に定着してほしいですよね!
    小兵力士の希望の光だと思うので。
    追伸
    どうやって、石へんに磨の文字を入力したのですか?Σ(・□・;)

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