松重豊さんを招いての大相撲中継。本当に相撲が大好きな有名人に対して相撲ファンが覚えるシンパシーを考える。
九州場所、中日。
両横綱の全勝ターンや
稀勢の里VS豪栄道の互いに負けられない対決など
見どころが沢山ある一日だったのだが、
もう一つ、今日は相撲以外のところに
大きなポイントが有った。
相撲中継のゲストに来た、松重豊さんである。
相撲好きを公言する有名人は多く、
これまでもゲストに様々な方が来た。
特にデーモン閣下の時の放送は本当に圧巻で、
相撲の内容はあまり覚えていないが
デーモン閣下の話が凄かったことは記憶している。
中にはそこまで相撲に思い入れが有るようには
とても思えない方も居たことから、
相撲が好きだという話を今まで聞いたことの無かった
松重さんに対する期待と不安は有った。
特に、松重さんと言えば「孤独のグルメ」のような
好きな人はどっぷり浸かるほど好きな代表作がある方だ。
かく言う私自身がそれで、その時の楽しい思い出を考えると
少し至らぬ点が有っても「孤独のグルメ」の時の好感度で
「とはいえ、まぁいいじゃないか」という消化をする気で居た。
ということで、16時からの放送を観た。
…一言で表すなら、驚いた。
あまりにも、この方が相撲好きだったからである。
・豊山が好きで、雑誌の企画で中学の頃に葉書を書いて当選し、実際に対面する。
・その時に弟子入りを申し出て断られる。
・今の贔屓力士は、豊ノ島と勢。
この話を切り取っただけで、もう本物だ。
だがこの方が凄いのは、こうしたエピソードを話しているからではない。
そう。
この話を誰よりも嬉しそうに、楽しそうにしているからなのだ。
何かが好きでその時のことを話す人は多いが、残念なことに
自分を彩るアクセサリーのように話してしまうことも有る。
ウンチクを語るのが好きな人は、大抵の場合
その物事が好きなのではなく、ウンチクを語って
注目を集めている自分が好きなわけで、
だからこそ煙たがられてしまう。
相撲についてここまで博識だということ自体、
想像をはるかに超えていたのだが、
それ以上に驚いたのは、松重さんが博識なだけでなく
純粋に相撲が大好きなことだった。
こういう態度は相撲ファンにも伝わる。
ツイッターのタイムラインも、松重さんに対して
誰もが驚き、喜びを以って受け入れているというものだった。
だが、サッカーや野球が好きな有名人に対して
それほど反応しないのに、我々は松重さんに対して
ここまで親近感を覚えたのには理由が有る。
相撲というのは、どちらかというと少数派の趣味だからだ。
誰もが好きなものを好き、と言われても
ああ、そうなのか、というレベルの感想しか抱かない。
しかし、TBSラジオの小林悠アナがウルトラセブンにどっぷりハマったり、
鈴木史朗さんがバイオハザードがとてつもなく上手かったり、
藤波辰爾さんが城を建てる見積もりをするほど城が好きだったり、
そういう話が出てくると、距離がぐっと近くなる。
松重さんが本物の相撲ファンであることを知り、
相撲ファンは同じ価値観を共有するマイノリティであることを知った。
それが嬉しかったのである。
だから私は今回のことを通じて、もし本当に相撲が好きな
有名人の方が居れば、是非大相撲中継に出演していただきたいと感じた。
その方にとっても相撲ファンがホームになるであろうし、
放送としても非常に魅力的なものになる。
最後に、松重さんが放送の終わりに仰ったことを紹介したい。
「やっぱり相撲が好きなんだな、ってことを再確認しました。
本当に大好きなんだな… お相撲さんにはなれなかったけど、
これからも相撲を愛し続けたいと思います。」
うん。
本当に素敵な言葉である。
◇特報◇
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◇特報2◇
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