今そこに有る日本サッカーの危機。大相撲が堕ちた数年との共通点から、その重さと対処策を考える。

日本代表サッカーが、一つの大きな問題を抱えている。
まだ決まったわけではないし、そもそもその発端とされる問題への
関与については今のところ不明確なので
是非についての言及はそれを深掘りした紙面を
参照頂ければと思う。
日本代表のサッカーに関しては、期待感がピークに達した
ワールドカップでグループリーグを突破できずに
敗戦した影響が有り、まだ敗戦前の高揚感が取り戻せずに居る。
過大評価と過小評価を繰り返しており、
勝てば過剰に評価し、
負ければ傷つきたくないためか、
そもそも弱いという評価をしてみたり
スケープゴートを探してみたりする。
現状は本田圭佑への個人攻撃について
ACミランでの活躍が有って一応収束しているが
代表全体への評価は低い状態が続いている。
日本代表サッカーに対するネガティブな雰囲気が漂う中で、
今回の問題が投下される。
ここで一番怖いのは、更にネガティブな印象を
日本サッカーそのものに対して抱かれることである。
私が一番恐れているのは、日本サッカーが
「なんか気に食わないことが有れば、何を言っても許される存在」
に成り下がってしまうことである。
人の印象を大きく決めるのは、その対象を
「好き」か「嫌い」か「興味が無い」という3択のうちどれか、
ということで間違いない。
ネガティブな情報が流れると、悲しいことに
是非を判断する前に「嫌い」というカテゴリに入れられるので
何をやっても悪意のフィルターを通して是非を判断することになる。
こうなると、もうおしまいである。
試合でいい結果を出そうとも、
選手個人が世界的に活躍しても、
ダメなことにしか言及されない。
何故私がこのようなことを恐れているかと言えば、
大半の方は想像が付いていると思うが数年前に大相撲が
辿った道筋と重なる部分が有るからである。
朝青龍の台頭と共に、良くも悪くも裏表の無い彼の個性は
横綱審議委員会やマスコミの格好のターゲットとなった。
追い込まれた朝青龍は土俵態度が悪化し、
また私生活が大いに荒れることになった。
そして輪を掛けるように発生した様々な問題。
大相撲に対する批判的な言論は、相撲そのものを
若貴ブームの頃の「好き」から「嫌い」へと転じさせた。
あまりにも様々なことが有り過ぎて、
多くの方が相撲を「嫌い」と感じることになったこと
そのものについて責める気は全くない。
だが、2015年に於いて一度「嫌い」と判定された時、
目も当てられないような状況に陥ることになる。
そして、一旦すべてを失うところまで落ちることになる。
力士ならびに親方の大量解雇という劇薬を投与し、
名誉が地に堕ちるところまで見せつけなければ
メディアも市民も納得しない。
これこそ「嫌い」と判定された時の最も怖いことである。
私は大相撲がどん底を経験した時にブログを始めたのだが、
相撲に対する世間の半笑いを感じることが多く、
これが想像以上に引っかかっていた。
自分が楽しければそれでいいと割り切るには、
この反応はかなり重たかったのだ。
こうなるともう相撲を観ること自体、息を潜めて行うことになる。
相撲ファンが一匹狼が多く、職場などで語ることが少なかったのは
こうした背景によるところが大きい。
今の日本サッカーを取り巻く環境は当時の相撲と非常に似ており、
このような経験をしているからこそ他人事には思えないのだ。
春日山部屋と川崎フロンターレの絆に感銘を受け、
サッカーも少しずつ観ている私からすると、
今この時点で悪い流れを止め、「嫌い」のスパイラルから
脱却してほしいと思うのである。
ただ、今一番怖いのは実は今回の問題が更に悪化することではない。
そう。
アジアカップの結果である。
ここで更に惨敗したと仮定しよう。
ワールドカップとアジアカップ、この二つの大きな大会に於いて
期待を下回る結果だったとすると、期待の裏返しで
大きな落胆を招く結果となる。
短期間に二度落胆することを受け入れられるほど、
人間は優しくない。
だが、これは別に視点から考えるとチャンスとも言える。
つまり、アジアカップで想像以上の結果を残せば
この悪い流れを断つことも出来るのである。
歓喜は最高の薬なのである。
今回の問題については最悪な事件かもしれない。
だが、この汚名を濯ぐ機会をこの短期間で与えられたことは
ひょっとすると神の導きか何かなのではないかとも思う。
全てはアジアカップの結果次第なのだ。
勝てば天国。
負ければ地獄。
日本サッカーの明日は、どっちだ。
あの頃の相撲と同じ道を辿ぬよう、祈らずには居られない。
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