白鵬の凄さは、敗れる姿も理解不能な点に有り。

大相撲夏場所9日目、白鵬が敗れた。
会心の勝利ならば、大横綱を超えたことに興奮する。
そして、やらかしての敗戦であれば驚く。
しかし最近の白鵬が敗れると、呆気に取られるのである。
ふわっと立った立合の意味も分からない。最初から劣勢を余儀なくされる白鵬。予期せぬ形で絶好のチャンスが到来することに当惑する観客。だが、誰よりも当惑していたのは対戦相手の勢だった。
胸元に入りながら、距離を取ってしまった。みすみすこのチャンスを逃すも、互いに距離を詰められない。白鵬が距離を縮めようと手を伸ばすと、それを振り払おうとする。
実際のところは分からない。
だが、その姿は怯えているかのようにさえ見えた。
そして前に圧力を掛けたその時、白鵬はいきなり土俵に崩れ落ちた。
バランスを崩したのは間違いない。
だが、何故崩したのかは分からない。
ただ足が返ったのは間違いないことだった。
最近白鵬は自滅で敗れることが多くなった。以前は序盤中盤であれば前に出る力士の対処を誤り、成す術なく敗れるという一つの形が有った。これは恐らく受ける相撲だったからこそ、ごくまれに攻めに屈することも有るということだったのだと理解している。考えてみると受けの相撲を取っていた貴乃花も、序盤でこの形で星を落とすことが多かった。
今の白鵬は、違う。
自ら攻めるので、動いて失敗することが一つの形になっているのである。対戦相手に自分の相撲を取らせる前に白鵬が攻めた結果、失敗する。それは分かる。
だが、最近の白鵬の敗戦は理由が見えない。その意図も、メカニズムも、まるで分からないのである。解説者もアナウンサーも説明してはくれるが、他の力士が敗れた時のように理解することは無い。首を傾げ、その理由を探そうとする。結局分からないのである。
白鵬は今、相撲の歴史の中でも誰も取ったことの無いスタイルを構築している。どのような戦略を取るのか。何故それが出来るのか。一部であれば理解できても全てを理解することは誰一人として出来ない。
張り差しとカチ上げの百発百中のコンビネーションは隙も有る。だからこれまで誰もこのような相撲を取ってはこなかった。解説者もこれを食い続ける力士に対して苦言を呈するが、皆その餌食になり続けた。それは、誰も白鵬の相撲が分からないからである。
そして今の白鵬は勝てる理由も分からないが、負ける理由も分からない。分からないからそこに理由を見出そうとする。しかし、結局真相は藪の中なのだ。
如何に勝ち、如何に敗れるのか。対戦相手も、そして我々も、白鵬に振り回される日々が続くのだ。そして、昨日の勢のような表情を浮かべることになるのである。
あと6日間白鵬を見つめ、白鵬について考える。
それだけで、大相撲を観る価値が有ると私は思うのである。
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