力士をいかに守るか。公傷制度を今一度、考える。中編

先日公傷制度について記事を書いた。
有り難いことに数十件あまりのメッセージ、コメント、メールを頂いた。各々が各々で考えた公傷制度案が有り、どれを読んでも各自の哲学が有って実に面白かった。考え方が異なれば賛成も反対も、制度案も全く異なるものになる。そのことが分かっただけでも興味深い機会だったように思う。
ただ、各自の意見が異なるということは面白いのだ、反面で誰もが納得感の有るアイデアなど存在しないことを意味している。現状維持でも当然不満が有る方も多いが、今回のご意見の中では現状維持という意見が想像以上に多かったことも事実だ。
何かが守られれば何かが損なわれる。
何かが損なわれれば何かが守られる。
では、守ることと損なわれることを如何なるバランスで保てば良いのか。それが問題ではないかと私は思う。万人が納得する案は無いが、その中で多くの方が理解できるラインも有るのではないかと思う。
そこで、以前当ブログのUstream放送の中で、相方のSearch_net_box氏が作成したふたつの公傷制度案を紹介したい。ちなみにこれは2014年時点の案なので、これをブラッシュアップさせた形の案が既に完成しているという。9月27日の21:00よりUstream放送を配信するので、その際に新案を発表する予定だ。
◆前提◆
・長期間にわたる休場力士が増えており、複数場所にわたって公傷が適用されるルールが必要。
・力士が安易に公傷を選択しないルールが必要。
以前の仕組みだと長期休場には対応できず、また最後の数年間は公傷が激増したことから「長期的に適用され、力士が出場に前向きに考えられる」制度が必要となる。そして、力士に取って重要なのは「地位」と「収入」である。
◆公傷制度案①◆
①番付においては公傷であっても「出場しない」ということに対してのペナルティとして「全休」と「番付維持」の中間的措置とする
 ・ケガを負った場所の成績は「ややや」(3日休み)を「●●○」と見立てる。
 例1)2勝4敗9休→
    5勝10敗扱い
 例2)5勝3敗7休→
    「ややややややや」を
    「●●○●●○●」と
    見立て7勝8敗扱い
 例3)7勝6敗2休→
    (休みが3日に満たないので)
    7勝8敗扱い
 
 ・公傷全休場所は関脇以下は「5勝10敗」、幕下以下は「2勝5敗」として番付を編成する(関脇以下としたのは上記制度の場合、大関は現行基準よりも厳しくなるため。5勝10敗だと負け越しの扱いでしかない故)
 ・大関はカド番でない状況での公傷であっても復帰場所はカド番とし大関の地位は維持される
②賃金の支給については基本給のみの支給とする
 ・全休でも支給される給金の支給は行わない。また公傷場所は養老金・勤続加算金、また年寄名跡取得条件等において公傷場所については1場所を加算しない
 ・幕下以下は通例通り場所手当を支給
③短期であっても長期(複数場所)にわたっても使用可能とする:ただし2場所目以降は場所前に医師の診断を受け公傷の延長申請をする
④故障の再発であっても土俵上で負った負傷であれば適用可とする
◆公傷制度案②◆
 ・MLBのDL制度のような制度を導入する
 ・途中休場場所の成績の「や」は考慮しない。
 ・その翌場所の地位に応じて復帰場所の地位が決定(別表1)
 ・期間内の待遇は全休開始場所の地位での待遇とする
 ・期間については休場開始場所を含み最大6場所とする
 ▼別表1 全休開始時の地位と復帰地位
  大関 → 関脇(10勝復帰可)
  関脇・小結 → 平幕8枚目格
  平幕1~8 → 平幕最下位格
  平幕9~ → 十両7枚目格
  十両1~7 → 十両最下位格
  十両8~ → 幕下15枚目格
  幕下1~30 → 幕下最下位格
  幕下31~60 → 三段目50枚目格
  三段目1~50 → 三段目最下位格
  三段目51~100 → 序二段60枚目格
  序二段1~60 → 序二段最下位格
  序二段61~ → 序の口最下位格
  序の口 → 序の口最下位格
例1)
 1場所目
  平幕3枚目 4勝8敗3休
  →負越4として番付を編成
 2場所目
  平幕7枚目 DL登録
 復帰場所 平幕最下位格で復帰
例2)
 1場所目
  十両10枚目 7勝3敗5休
  →勝越4として番付を編成
 2場所目
  十両6枚目 DL登録
 復帰場所 十両最下位格で復帰
・大関については長期休場となるので関脇に一旦陥落させるが、復帰場所で10勝することで大関に返り咲けるチャンスが与えられる。
・十両8枚目~十両最下位の場合ケガをした際に関取であり、その場所でケガをするまでの成績で十両を保持できるとみなされれば、幕下に陥落させても1場所で戻れるチャンスが与えられる。
・序ノ口でも土俵上のケガであればたとえ長期間にわたり休場したとしても番付からしこ名が消えることはない。
これらの案を読み、どのように感じられたか。私案をお持ちの方も、単にこの案に対して賛成・反対という方でもコメント頂ければ幸いである。また、これを踏まえたうえで明日の放送を確認いただければ更に面白くなるのではないかと思う。
というわけで、9月27日 21:00から以下のサイトにアクセスしていただきたい。
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力士をいかに守るか。公傷制度を今一度、考える。中編” に対して1件のコメントがあります。

  1. TCE00074657 より:

    大相撲の世界ですから、単純明快なルールの方がしっくりくると思います。あと、他のスポーツでも複数年契約でない限りは年俸は下がるわけですし、長期休場に適用しなくてもよいと思います。
    ですので、案①の
    ・公傷全休場所は「5勝10敗」、幕下以下は「2勝5敗」として扱う
    ・公傷全休場所は基本給のみ支給
    くらいでも、公傷乱用の抑止力にはなるし、怪我人の救済も可能だと思います(直近だと豊ノ島は今場所の休場後も十両を維持可能)。
    あとは、長期休場救済するのであれば、全治半年以上なら2場所まで適用可くらいでしょうか。

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