イチンノロブ湊部屋入り。幕下力士を圧倒するこの逸材の現状を過去の力士を比較し、今後を予想する。

鳥取城北高校出身で、現在同校でコーチを務める
アルタンホヤグ・イチンノロブの湊部屋入りが決定した。
獲得した高校タイトルは5個。
そして全日本実業団選手権では個人優勝。
若干二十歳。
アマチュア界ではその名を轟かせるスーパーエリートである。
先日の貴乃花部屋らとのプロアマ混合トーナメントでは
藤本や松本、そして天津を破り優勝を決めている。
アマチュアでこれだけの実績が有る力士ということで考えると
今であれば当然遠藤という名前が出てくる。
彼のここまで活躍ぶりを考えると、期待せずにはいられないところである。
幕下15枚目格付け出しデビューを飾る彼は間違いなく、
この地位では抜けた存在である。
それは、先のトーナメントの結果や昨今の付け出しデビュー組の
実績を見れば容易に想像が付く。
だから、後は彼がどれだけやれるのか。
そこがポイントになる。


二十歳でこれだけの実績を積むのは簡単なことではない。
だが、当ブログで数回触れていることだが、
力士というのは入門が早ければ早いほど伸びしろが大きく、
遅くなればなるほど成長が鈍化する傾向にある。
例えば、遠藤と舛ノ山は同い年である。
デビュー以来センセーショナルな活躍を見せる遠藤も、
実は同級生の先駆者が居り、ようやくそこに追いついたという
構図が有るのである。
相撲界で二十歳という年齢は決して若くはない。
若くして地位を築くことも可能な競技なのであり、
逆に若い頃の勢いである程度まで行かないと
怪我やスランプの影響でなかなか上に上がりにくくなる傾向にある。
例えば、二十歳だとどの程度実績を残せるのか。
現役・過去の力士を例にとってみたいと思う。
参考情報として、大学最上級生としての年齢である
22歳の時の番付についても調べてみた。
◆主な力士の20歳・22歳直後の場所の地位と成績
・白 鵬:西関脇(8勝7敗)⇒西大関(13勝2敗)
・日馬士:東十両7枚目(6勝9敗)⇒西小結(4勝11敗)     
・稀勢里:西小結(8勝7敗)⇒東小結(6勝9敗)
・琴奨菊:西幕下6枚目(4勝3敗)⇒東前頭8枚目(9勝6敗)
・鶴 竜:東幕下5枚目(5勝2敗)⇒東前頭11枚目(9勝6敗)
・琴欧洲:西序二段25枚目(6勝1敗)⇒西小結(4勝11敗)
・把瑠都:東序二段30枚目(7勝)⇒東前頭筆頭(4勝7敗4休)
・魁 皇:西十両11枚目(8勝5敗2休)⇒西前頭筆頭(9勝6敗)
・千大海:東十両6枚目(8勝7敗)⇒東小結(8勝7敗)
・栃 東:西前頭15枚目(10勝5敗)⇒東前頭筆頭(10勝5敗)
・朝青龍:西十両3枚目(11勝4敗)⇒東大関(14勝1敗)
大関以上に昇進するような力士であれば
20歳の頃には既に才能の片鱗を見せており、
22歳にもなると大相撲でも確固たる地位を築くことが分かった。
その後の伸びしろはその力士次第だし、
アマチュアで技術を身に着けることによるメリットが有る、
というのもまた事実である。
決して全員に適用できる法則ではないし、
松鳳山のように三十路を前にして本格化する力士も存在する。
だが、日頃から自分よりも強い力士に囲まれ、
常に課題と向き合いながら結果を求められる環境が
力士を強くすることは容易に想像が付く。
イチンノロブが強いことは事実だ。
だが20歳という年齢は、更なる強さを既に身に着けられる年齢なのだ。
大卒の年齢になるよりも早く角界入りすることが出来たのは
彼にとっては幸運なことだと思う。
ここのところ、大関を目指せる外国人力士が
随分と減ってきている。
これが相撲界に漂う停滞感を招く一因にもなっている。
彼にはそうした空気を打破するだけの活躍を期待したい。
追伸
やはり四股名は「湊鵬」とか「湊龍」辺りで落ち着くのだろうか?
◆特報
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イチンノロブ湊部屋入り。幕下力士を圧倒するこの逸材の現状を過去の力士を比較し、今後を予想する。” に対して1件のコメントがあります。

  1. hamausu44 より:

    毎々、ブログ楽しく拝見しております。さて、イチンノロブ。楽しみですね。是非とも大きく育って大相撲界を引っ張る一人となって欲しいものです。にしても、日本人である‘遠藤’への期待の方が大きくなってしまうのも否めませんが。そんな期待を一身に背負った力士たち、そして夢を追い続ける男たちがひしめき合う世界(幕下以下)の中を関取となって定着して実績を挙げていく。その夢を手にできる者と出来ない者との違いは何なのでしょう。幕尻と十両の境、十両と幕下上位の境。ほんの少しの違いなのに、この大きな格差。それが、スナック愛の御仁の言う‘稽古’の差なのか?だとするならば、稽古を死ぬほどすればイイじゃないか皆。と思いつつ、秋巡業(浜松場所)を観に行き、ふと思うのが、力士達の過酷な環境です。年6回の本場所以外に、季節毎の巡業。我々地方在にとっては、相撲を身近に観られる希少な機会だけに、無くなってしまっては寂しいのですが、この巡業スケジュールを見ると、こりゃまた大変だなと思わざるを得ない。朝8時ごろから稽古をスタートし諸々の巡業ならではの催し物をこなし、取組みを終え15時頃に終わったと思ったら、翌日の開催地への移動(ほとんどがバスで数時間をかけて)。そんな巡業を何日もこなしながら次の本場所開催地へそのまま移動ですものね。稽古しろったってする時間が無いのじゃないか?大相撲そのものが‘興行’なのだからそれもこれも致し方のないことなのか?いずれにしても、イチンノロブ、そんな世界で埋もれることなく、飛躍して欲しい逸材ではあります。でも、まだまだ虎視眈々と上を目指している星たちも一杯いますよね。貴殿のブログのお蔭で大相撲の楽しみが何倍にも広がっております。ありがとうございます。

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