変化で見せた、新世代の旗手たる矜持。照ノ富士がこじ開ける、一寸先は闇の9月場所とは?

照ノ富士が琴奨菊を下した。
驚くべきはその内容。
大関との初対戦で、事も有ろうに変化しての勝利。
変化というのは2種類有る。
変化してしまったパターンと、
意志を持って変化したパターンである。
前者は逃げの、後者は攻めの変化と言う言葉で
当ブログでは表現している。
大関戦ともなると大抵の場合は変化してしまった、
というパターンが出てしまい、
結果がついてこない上に取組としても期待を裏切るという
誰も幸せにならない結末を迎えることになる。
だが、照ノ富士は違った。
十両の頃から狙っていたというのだ。
期待の新鋭が大関を相手にどのような相撲を見せるのか。
また、大関はどう受け止めるのか。
そういう期待を抱いていたファンは、
この結果に対して少なからず落胆したであろう。
勿論、琴奨菊の手落ちという側面も大きい。
琴奨菊の不甲斐なさという論点で語る方も多く存在していた。
琴奨菊に否定的な方も、照ノ富士に否定的な方も多い。
そんな一番になってしまったわけだが、
しかし誰もが共通して抱いたであろう感想も存在する。
照ノ富士の度胸の良さ、である。
今まで一体誰が、初顔合わせの大関戦で
立ち合い変化してきただろうか。
そして、それを成功させただろうか。
誰もが一度は考えたことは有るだろう。
だが、誰も実行できなかった。
照ノ富士自身も、立ち合いの変化が万人を納得させるなどとは
微塵も考えていないはずだ。
入門以来、変化を良しとしない教育を受け続けてきたのだから、
批判されることを受け入れたうえで、彼は変化したことになる。
では何故変化で来たかと考えると、理由は単純だ。
そう。
勝ちたかったからだ。
批判を覚悟し、リスクを許容し、そして
その後可愛がられるかもしれない恐怖も乗り越えて
照ノ富士は立ち合いで変化した。
今まで下位の力士が、これだけの気構えで
大関を倒しに行ったことは有っただろうか。
私はふと考えた。
…有った。
しかも、ごく最近のことだ。
横綱相手にカチ上げを奮った大砂嵐。
鶴竜を相手に四つではなく突き放す相撲を披露した遠藤。
そして、誰が相手でも吹き飛ばしに掛かった千代鳳。
新時代の旗手達は、既に各々が各々のやり方で
上位の力士を潰しに来ていたのだ。
そしてその中に、
初の大関戦で立ち合い変化した照ノ富士が名を連ねることになる。
序盤戦でこうした危険な力士との対戦が複数組まれるとしたら、
どうだろうか?
本場所というのは流れが有り、最初に乗り切れないと
最後まで不本意な結果に終わることも多い。
もはや大関と言えども、安閑とはしていられない。
稀勢の里も、琴奨菊も、そして豪栄道も。
怪我や不調が絡めば、すぐにカド番。
そして、大関陥落。
恐怖のシナリオが現実味を帯びる。
2大関が敗れ、3横綱が引いての勝利。
これは一体、何を意味するのだろうか。
一寸先は闇の、9月場所が始まった。
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