貴乃花が関取を育てられない理由。4
引退後のボーナスステージとも言える
若手の青田買いに自らの激し過ぎる気性が災いして
壊滅的な失敗をした貴乃花。
相撲界最大手だった二子山部屋に在りながら
自らの理想を体現すべく、
タニマチを排除し一般人からの支援を募った結果、
どちらも離れてしまうという
正に離れ業を演じた貴乃花。
盛者必衰。
栄枯盛衰。
平家物語の昔から言われているように、
いつまでも繁栄は続くものではない。
ただ、貴乃花が平家と違うのは、
決して彼は驕っていたわけではない。
単に自らの信念に忠実だったというだけなのである。
それが皮肉と言わざるを得ないのだが…
4日目のテーマは、
貴乃花の指導者としての素養、である。
通常の部屋よりもスカウティング能力に劣るため、
有望な若手は基本的に鳴門部屋だの九重部屋だの
佐渡ケ嶽部屋だのに入門してしまう。
怪物的な中学生や全国大会で結果を残した高校生は
当然のことながら関取すら一人も輩出していない
理想に一本気な親方の下には好き好んで入るはずもない。
何度も言うようだが、彼の一本気な性格は
一本気故に様々な軋轢を生んでしまう。
相撲に集中し、相撲に一生を賭ける前途ある若者は
そうしたリスクを考えても尚貴乃花部屋を選ぶには
絶対的な条件がある。
そう。
指導力である。
そもそも潜在能力で劣る若手しか集まらない部屋の中で
成功するには能力を最大限に発揮するための
指導力が不可欠なのである。
貴乃花という人が客観的に見て
どの程度指導力があるか?
という質問に対し、客観性を持たせるための
一つの指標を思いついたので共有する。
在籍のモンゴル人の成績について分析し、
別の部屋との相対性で可か不可かを判定する。
貴乃花部屋の最有力力士、
貴ノ岩は、ご存じのとおり関取経験が無い。
モンゴル人という大相撲との親和性の
強い競技者でも幕下の壁を越えられないのだとすれば
本人の素養面での課題もあるだろうが、
悪い言い方をすれば、
モンゴル人すら関取に出来ないのが
貴乃花部屋の現実なのである。
27人中のトップ10を育てられないのだとすれば、
残念ながらそれは指導力に問題があるのである。
ちなみに17人の中でも過去に関取経験がある者も居り
数値的には更に下方修正が必要となる。
モンゴル人という既に能力面でアドバンテージのある
若者の結果という指標を考慮すると、
今のところ指導に問題があると
言わざるを得ないことが良く判るだろう。
続く。
八百長と無縁なガチンコ横綱として、他の力士の尊敬・あこがれの対象だった貴乃花。しかし、ストイックな彼がかもし出す「求道者」的雰囲気は、指導者にとっては不必要な資質だったようです。
つまり、求道者としての資質(潔癖、孤高、唯我独尊、エキセントリック性)は、弟子の育成にとってはマイナスに作用していたようですね。
「平凡」な力士の卵にとって、彼の「非凡」な特質は「うっとうしい」以外なにものでもないわけだし、また、非凡な者が平凡な者のコンプレックスや内面の苦悩を心底理解できるわけがないでしょうから。
ちなみに、名伯楽として非常に高い評価を受けていた琴桜(故人)は、貴乃花の「対極」に位置する指導者でしたね。