隆の山報道に思う。
2日連続隆の山ネタで恐縮なのだが、
久々に出現した人気力士で且つ永らく幕下で
燻っていた存在なので、このタイミングで
きちんと向き合ってみたい。
全く知られていない存在が、知名度を急速に高めるには
誰もが理解可能な特長を持っていることが
必須条件となる。
つまり、スポーツ界に於いてこれを可能にするのは
2つの方法論しかない。
一つは、実力が圧倒的であること。
もう一つが、非常に分かりやすい個性を持っていること。
実力については誰もが分かるように、
成績が突出するため、気にしていなくても
自然と目にするようになり、
好む好まざるを別にして認識するようになる。
これはとても自然な流れであり、
こうした形で名を上げることに疑問を呈することはまず無い。
だが、彗星のように登場するということは
下のカテゴリーで既に圧倒的で、
しかもトップに昇格した後でもその片鱗を見せることが
条件となるので、ケースとしてはあまり無い。
問題は、分かりやすい個性を持っているというケースである。
現代の日本のマスコミ界に於いては
読者の需要を見誤っているのか、
この視点がブレてしまっているのだ。
そう。
分かりやすい個性というのを
「馬鹿でも分かる」という言葉に置き換えて
理解しているのである。
この「馬鹿でも分かる」というポイントについて
幾つかの方法論を上げてみよう。
一つ。
技が凄いということ。
基本的に我々は漫画を幼少期から読んでいるので
漫画におけるスポ根モノにトレースする形で
現実のスポーツ界に於いても
スポ根のテイストで個性を語るわけである。
基本的にスポーツ新聞の読者はサッカーを
戦略や細かい技術論で捉える事が出来ないと
思われているので、必殺技になぞらえる形で
その人を紹介するわけである。
6年前のワールドカップ予選で
DFに怪我人が出た関係で三浦淳宏が選出された際、
DFとしての能力を一切語らずに
フリーキックが凄いという一点で彼を紹介した
という事例は正にこれに当たる。
一つ。
キャラクターが際立っていること。
奇抜な言動、目を惹くルックスというのが
このカテゴリに入ってくるわけで、
競技者としての魅力とはまた別の部分に
スポットを当てるという手法である。
野球で言えば「私は乳白色の血が流れている」
と公言して止まないほどのヤクルトファンなのであるが、
若手選手としてブレイクした2名が
バカボン七篠とジャイアン赤川というのは
選手に対して同情せざるを得ないのである。
そして3点目の「馬鹿でも分かる個性」として
隆の山をカテゴライズしたことに対して
私は怒っているわけである。
続く。