隆の山報道に思う。2

マスコミ報道の在り方については
インターネットの普及と共に意図的なプロモーション活動、
行われていることが誰の目にも明らかになってきている。
例えば10年連続オールスター出場にして
首位打者2回、MVP1回、
WBCで2回共獅子奮迅の活躍を遂げたイチローと
2回のオールスター出場で無冠、
且つWBCには不参加の松井秀喜を相変わらず
同列にして語っているのがその典型例である。
本当は松井をイチローと同じ次元で捉えたい
というのが本音なのだろうが、
結果的に松井の実像を捉えづらくしており、
彼の残した稀有な実績すらも正しく評価されない
という松井ファンすらも望まない事態を招いていることに
彼らは気づかねばならないだろう。
古くは王貞治と長嶋茂雄が同列というのも
考えてみるとおかしな話である。
ヤンキースのジーターとアレックスロドリゲスの関係を
考えればあり得ないことではないのだが、
王さんがもっと評価されるべきでだということは間違い無い。
さて、そんな下敷きを踏まえたうえで
隆の山の報道問題である。


隆の山が場所前、そして場所が終了した後ですら
彼に対する世間の興味は非常に高い状態を保っている。
週刊新潮が隠し子報道などをしていることからも
それは明らかである。
例えばそれが阿覧や栃ノ心だったとしたら、
週刊新潮は恐らくスルーしているだろう。
何故なら、彼らのプライベートなど
麻薬でもやってない限り興味が無いからだ。
話を戻すと、隆の山がここまで注目を集めたのは、
いわゆる「馬鹿でも分かるキャラクター」の
3番目の手法をマスコミが持ち込んだからだ。
そう。
体格問題、である。
隆の山を語る上で、紙面上では必ず使うのが
最軽量ということだ。
そして、彼は最軽量というハンデを背負った上で
幕内の魑魅魍魎とどう立ち向かっていくのか?
というストーリーで語られている。
小さい隆の山、頑張れ!
という非常に分かりやすい、
持たざる者が持つ者に挑むという構図で語られる、
隆の山。
だが、彼の相撲は小さいから面白いのではない。
しかしながら、小兵であることを殊更に強調されると
結局彼の特殊性、惹いてはスター性から
かけ離れてしまう。
隆の山が面白いのは、誰よりも小さいのだが
スピードとパワーで体格が大きいものを圧倒し、
また抜群の身体能力であり得ない逆転を
演じることがある、という特殊性にある。
残念ながら現在の報道では
隆の山は舞の海扱いされており、
小さい力士が小さいなりの立ち回り方をしている、
という印象しか受けない。
だが、隆の山のこうした特殊性は
少なくとも従来の幕内からすれば誰もが
二度見してしまうほど異彩を放っており、
この魅力をメディアがキチンと語れば
更に多くの人の心を掴むことが可能なのである。
メディアは隆の山の分かりやすい部分を
フィーチャーすることによって
別の隆の山を作り上げてしまい、
結果的にその可能性を潰してしまっている。
それが残念でならないのである。
とはいえ、彼の本質について触れるメディアが無い限り
彼の本質たる幕下相撲を語る当ブログは存在意義がある、
というのは何とも皮肉なことだ。
メディアの報道姿勢に憤りを覚えながら
メディアの補完をすることによって共感を得るというのが
自らの使命であることに改めて気付き、
大変複雑な思いである。

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