幕下個性派列伝 Vol.3 大露羅 3
相撲界最重量級で、
比類無きディフェンス能力を誇る大露羅。
これだけの体格であれば
三段目から幕下で彼を破るのには困難を極める。
誰もがそう思うはずである。
そう。
勝ち相撲だけを見れば。
だが、実際はそうではない。
何故なら彼の現役生活の大半は
幕下にすら満たない三段目だからだ。
結論から言うと、大露羅には致命的な弱点がある。
大露羅の致命的な弱点。
それは、自分から全く動けない点にある。
その体格故に、相手の攻撃は
ほぼ無力と言ってもいい。
しかし、攻撃が無力なのはあくまでも
相手が正面からぶつかってくる場合のみである。
態勢が安定している正面からの攻撃であれば、
彼と同等かそれ以上の体格の持ち主でなければ
崩れることはほぼ無い。
だが、これが正面ではなく横の動きが加わると
状況は一変する。
正面からの動きに横の動きが加わると、
重心を変化させざるを得ない。
あとは崩れた相手に対してフルパワーでぶつかれば、
その体格はあまり大きな意味を持たない。
それどころか崩れるとその体格が逆に足を引っ張り、
態勢を立て直すのに困難を極めるのだ。
身軽であれば俊敏な動きが可能だが、
大露羅ほどの体格を早く動かすには
それ相応の力を掛けねばならないが、
彼にはそれが出来ない。
相手の動きを止められれば
かなりの確率で勝利を呼び込むことが出来るが、
逆に相手を捕まえられなければ勝機が無い。
それが大露羅のスタイルなのだ。
つまり、大露羅は今のままでは
これ以上番付を上げることは出来ない。
恐らくそれは本人が一番良く判っているだろう。
12年経っても致命的な弱点を克服できずにいるのであれば
自らの限界に向き合わざるを得ないだろう。
となると、一つの疑問が浮上する。
続く。