幕下個性派列伝 Vol.3 大露羅 2

現役最重量クラスの力士である、
ロシア出身の大露羅。
193センチ 273キロという、
古館伊知郎の言葉を借りるならば
人間山脈という表現に集約される彼の体格は
勿論その相撲スタイルに大きな影響を及ぼしている。
さて、現役最重量力士でありながら
三段目の殻を破れずにきた大露羅の
取り口とは一体どのようなものなのか。


立ち合い。
相手力士のパターンは大きく分けて2種類。
下から潜って前みつを取りに来るか、
もしくは、突き押しで体勢を崩しに掛かるのである。
しかし、相手がどう来ようとも、
大露羅がするべきことは只一つ。
そう。
相手の前進を止めることである。
前への推進力を失い、
近距離で密着されると273キロの体格を
崩すことはもはや不可能に近い。
故に大露羅は立ち会い後に
自ら先手を打って相手を捉えるようなことはしない。
やりたいようにやらせた後で、
自らの間合いに入ってきたところを捕獲する。
つまり、アリ地獄のような戦法なのである。
大露羅にとっての勝利パターン。
それは相手を密着状態で捕獲することに他ならない。
身動きの取れない相手力士は、
どうにか正面ではなく横からの動いたり
前の推進力を利用して崩そうと試みるのだが、
結局それは密着状態の大露羅には通用しない。
少し元気があれば密着状態を長く継続すればいいし、
大露羅自身が前に出やすい体勢で有れば
さっさときめ出しにしてしまう。
例えて言うなら速攻の無いカウンターサッカー。
しかし、何枚ディフェンスが居ようとも
ラインは押し下げられ、全く意味を成さない。
ディフェンスに特化した彼のスタイルは、
三段目で唯一無二のそれへと昇華していたのである。
だが、勝ちパターンだけを考えると
難攻不落であるように錯覚してしまうが
彼が現在の地位に甘んじてきたのには
それ相応の理由がある。
続く。

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