力士のニックネームとは?

雑誌「相撲」が発売された。
ネット情報や新聞紙面からは得られない情報が
相撲界唯一の雑誌である「相撲」からは得られるので
毎月非常に重宝している。
特に、力士に対するインタビュー記事が
有ることがとても重要で、
過去の名場面や相撲解説であれば
テレビなどを通じて確認することが可能だが
こうした部類の情報はマスコミ無しでは
どうすることも出来ない。
そんなわけで、「相撲」紙発信で
知りうる情報は非常に多いわけだが、
中でも最近自分の中でおもしろいと感じたのが
力士のニックネームである。


有名なところで行けば
かつての横綱:朝青龍は「ドルジ」という
一般的にも浸透しているニックネームが有ったし
貴乃花とサッカーのカズは「光司」「カズさん」
と呼び合う仲だった、などという話も有る。
だが、力士同士の呼び方というと
どうなるかはあまり意識をしたことが無い。
そこで、この着眼点から力士を追ってみると
非常に面白いことが判明した。
力士同士では、基本的に本名で呼び合うのである。
力士にとっての名前とは四股名であり
誌面上も公式にも四股名で力士を指し示している。
つまり、力士自身も四股名で彼らを認識しているはずなのだ。
ということは、四股名の他にも本名を覚える必要が有り、
一人の力士に対して四股名と本名を一致させるという
大変面倒な作業が発生するわけである。
ならば四股名で呼べばいいではないか。
などと一般人からすれば思ってしまうのだが、
そうしないところに力士達のポリシーを感じるのだ。
これはあくまでも私の推測にすぎないのだが、
力士とはあくまでもデーモン小暮の言うところの
「世をしのぶ仮の姿」であり、
イチ人間としてはあくまでも本名の自分だということではないだろうか。
彼らは相撲界で力士という役割を果たしており、
それ故に発生する責任や世間からの期待に
応えなければならない立場にある。
力士の自分は自分の一部に過ぎず、
自分本体はまた別に存在する。
力士であることは私が考える以上に
様々な制約が有り、
誰もがその重圧と戦っているのではないか。
そんな風に想像してならない。
本来の自分の呼び名を使うという行為に理由を付けるならば、
そんな理由ではないかと思わずにはいられないのである。
ちなみに十両以上で唯一の例外。
それは
益荒海:少年
ということである。

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