転落。
現高砂親方(元大関朝潮)も輩出したことのある
相撲の名門・近畿大学出身の吐合。
学生横綱という金看板を背負い、
前途洋洋な将来が待ち受けているものだと思われた吐合。
期待値が高まるのは当然のことである。
だが、そもそもOBが指し示すように
不安が無いわけではなかった。
2004年の相撲全日本選手権。
相撲の全日本選手権は面白いもので、
高校生から大学生、そして社会人に至るまで
全員参加できてしまうというものである。
時の学生横綱たる吐合は、当然のことながら
優勝候補と目されていたわけだが、
ここで一つの試練が訪れる。
何と、
高校横綱との直接対決
となったのである。
高校横綱の立場からすれば、もはや失うものは無く、
玉砕覚悟で自らのベストを尽くせば良いのだが、
吐合からすればたまったものではない。
勝って当然、
負ければ名声が地に落ちる。
そんな究極のプレッシャーの中、
吐合は高校横綱と2度対決した。
そして、連敗してしまったのである。
一度であれば、かつて阪神の二軍が
たけし軍団
に負けたということのように
運などの偶発的な要素という逃げも利くのだが、
これが二度となっては擁護のしようが無い。
その高校横綱が現大関候補の豪栄道だとしても、
言い逃れは出来ない。
ましてやこの珍名である。
弱いうえに名前がアレでは、
そういうネタが好きなマニア以外は単に不安でしかないのだ。
かくして吐合は、学生横綱プラス
実力に疑問符という有り難くない個性まで
手中に入れたまま、北の湖部屋に入門することになったわけである。
続く。