【吐合速報】 男子二ヶ月会わざれば刮目して見よ (VS 里山)
珍名だけでなく、いつの間にか
苦労人としても知名度を高め、遂に十両に
手が掛かるところまで歩を進めた吐合。
8年の苦労は遂に確固たる相撲のスタイルを産み、
幕下上位であれば圧倒出来る次元にまで
その精度を高めつつある。
幕下2枚目で迎えた大阪場所。
初日に幕下筆頭の若乃島を全く寄せ付けずに
圧勝する様は来場所以降の活躍を
予期させるにふさわしいそれなのであった。
だが、念願の十両昇進に希望が見えたところで
先場所吐合に引導を渡した因縁の相手、
里山が再び立ちはだかったのである。
小兵ながらも変化は絶対にしない両雄は
真っ向から激突する。
立ち合いは五分。
距離を取りながら自らの間合いに入ったところで
おっつけを繰り出し、前への推進力を奪うと共に
突き押しであっという間に土俵際に追い込む吐合。
だが、里山も反撃する。
伸び切った吐合の腕を取り、態勢を崩しに掛かる。
急停止する吐合。
立て直す里山。
それでも止まらない吐合は、土俵際の里山を
捉えに掛かるも、里山は絶妙なタイミングで引き落としを試みる。
土俵に落ちそうになるも、下半身は崩れていないので
すぐに攻めに転じる吐合。
前に出る吐合。
後退する里山。
勝負を懸けて前に出続ける吐合。
だが、里山は正面から吐合の攻めを受けていない。
横にかわしながら、腕を取る。
前への推進力は両刃の剣となって吐合に牙を剥く。
足も上半身も前に出ている吐合は、
成す術なく土俵に落ちる。
里山、勝利。
2か月前と変わらぬ結末。
勝ち名乗りを上げる里山。
引き上げる吐合。
だが、変わらないのはあくまでも結果だけである。
大銀杏姿の両雄。
まだ3日目という余裕。
そして、地に足の付いた二人のスタイルの対決。
そう。
何もかもが2か月前と違うのだ。
互いが互いを高め合い、
観ている者を新たな境地に誘う。
終始里山がリードし、吐合を高めたのが初場所だとすれば
吐合の止まらない攻めに対して持てる限りの技で
里山が凌いだのが大阪場所である。
どちらも両者の顔であり、
どちらも納得の結末なのだ。
地上波での中継も無い。
懸賞金も無い。
観ている者の数も、中入後とは比較にならない。
だが、土俵上では本名を名乗り続ける
相撲馬鹿二人がベストを尽くして高め合っている。
地位でも名誉でも、ましてや金でもない。
30歳前後の二人が、純粋な戦いを繰り広げる舞台。
それが、幕下なのである。
この対決が出来れば、もう迷うことは無い。
あと5日、如何なる結果になろうとも
私は自作の吐合Tシャツを身に纏い、応援を続ける。
何か、意図があって組まれたのか、里山-吐合って感じでした。
通例、初日から十両-幕下の割を組まざるを得ないときは、十両最下位から上へ上へと向かっていき、幕下最上位から下へ下へと対戦させていきます。
初日、北園-荒鷲。2日目、若乃島-千昇。これは予想通り。
3日目は当然、吐合-益荒海になるものだと思っていました。
そして4日目に徳勝龍-里山。
ところが!
3日目に吐合-里山の割を組んだ。
協会がこの両者に何か感じるものがあったのか。
理由はわかりません。しかし、ここでこの割を組んできた審判部はナイスです。
左ハズから土俵際まで追いつめた時は、勝ったと思いました。惜しかったですね。「惜しかった」と言っていられる地位ではないので残り5番が勝負ですね。
よく考えると北の湖部屋だから、場所前に白鵬、琴欧洲が出稽古に来ていましたね(ミヤネ屋でもやってた)。
そこで何かを吸収していて欲しいですね。
>search さん
確かに何故里山が相手なのか、全く判りませんでした。
考えてみると、連敗スタートの里山に対する救済措置として
幕下の力士をあてがうという配慮をしたのかもしれません。
どうあれ、この因縁の対決を実現することによって
充実した取組を観ることが出来、何よりも
相撲を通じた人生ドラマを垣間見ることが出来ました。
素晴らしいマッチアップだったのだと思います。