力士と怪我。

将来有望な力士の休場が目立つ昨今である。
十年の下積みの末にようやく十両の座を勝ち取った千昇、
ロシア出身の阿夢露、そして、千代桜に至っては
重傷が祟って引退にまで追い込まれてしまった。
番付がある程度上位であればそれでもまだ救いが有る。
(千代桜は取り返しが付かないが)
これが番付が下位で有ればある程に
積み重ねた地位は怪我が原因で全て無に帰してしまう。


例えば、現在三段目の有望株で蘇(いける)という
力士がいるのだが、彼は出世後いきなり序の口優勝という
華々しいデビューを飾ったのだが、すぐに怪我をしてしまい、
3場所休場を余儀なくされた。
復帰後の地位はというと、元の序の口である。
序の口に戻った彼は本来の力を発揮し、
4場所で三段目の上位までこぎつけたのだが、
今場所またしても怪我が原因で休場している。
怪我の状況次第でまた彼は地位を落とすことになるのだ。
アスリートであれば怪我はつきもので、
例えば野球選手であれば投手が肘の腱を移植する
トミージョン手術を受けることになれば
復帰までに1年を要することは確定である。
野球でさえこの有様なのに、
立ち合いから100キロを超える大男が身体を
全力でぶつけ合う競技たる相撲に当てはめると、
怪我をするリスクは飛躍的に上昇する。
つまり何が言いたいか。
出世するには怪我を避けねばならないのだ。
だからこそ股割りを伝統的に行うなど、
身体のメンテナンスについては一定のノウハウが
有ることについては合点がいく。
一方で力士の体格の向上と、モンゴル人を始めとする
外国人力士による、土俵際の激しい攻防が
日常化していることにより、怪我のリスクは
相対的に高まっているということにも
向き合う必要がある。
怪我が出来ないルールの下で、
怪我のリスクが向上している現状。
公傷制度の復活は乱発を招くリスクを考慮すると
現実的ではないし、
ハード的な環境改善については伝統競技である側面を
考えると相当な覚悟が必要になる。
だとすると、自衛のためにすべきことは限られてくる。
そう。
怪我を未然に防ぐ取り口の確立、である。
身体を大きくすることによってダメージの
軽減を図ることも一つの手段だろう。
また、距離を保ち、常に相手を支配するスタイルを
確立することも一つの手段だろう。
各々のスタイルに合わせ、怪我を避けるには
どうすればよいか?
その方法は一つではない。
太く短く、という理想を掲げる人も中には居る。
記録よりも記憶に残りたい、というセリフも
名言のように扱われて久しい。
だが、同じ見るのであれば、短い期間よりも
長く楽しませてもらった方が面白いではないか。
ハナから諦めなくても、長持ちするという
観点も考慮に入れてやっても損はしない。
それが、一人のファンとしての願いである。

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