序盤の大関対決によって失われる、幸せな「ぬるま湯感」とは?

カド番大関同士の対戦が序盤に組まれるという
ニュースが流れた。
その目的というのが、ご存知の通り
終盤での対戦を避けることによって
八百長相撲を避けることであるという。
7勝7敗の大関の異常な勝率に関する
批判的な記事が出たことからも、
最近は八百長相撲に対する風当たりが非常に強く、
その対策としての案なのだろう。
序盤から実力者同士の対決が組まれることは
ファンとして実に嬉しいことであり、
私自身この案が採用されるとしたら
特に反対する要素も無いかと思う。
だが、この改正に関しては懸念している部分も有る。


以前から当ブログで度々話題にしていることだが、
相撲を観る側が力士に対する愛情を失っている、
という問題が有る。
例えば、以前であれば初代貴乃花が
千秋楽に勝ち越しを賭けた一番で勝利したとしても
そこに八百長という批判の声は上がることは無かった。
なぜなら、観る側が貴乃花に大関の地位を守ってほしい
という暗黙の了解が有ったからだ。
たしかに不甲斐ない取り口に対しては批判的だったかもしれない。
しかし、貴乃花のことが嫌いだったわけでも、
大関陥落してほしかったわけでもない。
もっとやれるのに、結果がついてこない。
そういうことがもどかしいのである。
だからこそ苦言は呈するが、彼の地位に関しては守られてほしい
という心理が働く。
故に多少の疑問が生じることは有っても
大関として来場所以降も地位が保たれるという
幸せな結末が得られたことに対しては批判的には成らなかった、
というわけだ。
だが、今は時代が違う。
かつてのこうした「幸せな結末」という観念は失われて
スポーツとしての透明感こそが優先して求められる。
それ故の八百長批判なのである。
「ぬるま湯感」とも言うべき感覚が
ファンと力士との間で共有されているからこその秩序が
20年前の板井・琴錦の八百長批判に始まる
週刊ポストの相撲報道によって壊れ始め、
相撲界が八百長相撲を律した2年前の出来事によって
「ぬるま湯感」は許されざる感性になってしまった。
ぬるま湯感の崩壊と共に、相撲のスポーツ化とも言うべき
転換が為されたことを思うと、
その最たる改革としての大関序盤対決というのは
実に理にかなっていると言えるだろう。
しかし、それでも私は相撲に対する優しさが
失われているということは残念でならない。
ぬるま湯かもしれない。
しかし、ぬるま湯の程良い湯加減の気持ち良さというのは
何とも絶妙なのだ。
ぬるま湯が失われることで、
新たな魅力が得られることを期待したい。

序盤の大関対決によって失われる、幸せな「ぬるま湯感」とは?” に対して 3 件のコメントがあります

  1. シリコン より:

    7勝7敗の大関の勝率が高いのは疑いをもたれても自然な気はしますが、負けると「ふがいない」「だらしない」ともとられてしまうのでどっちにしても批判の的になってしまいます。確かに「ぬるま湯」からの脱却はいいかもしれないですが、「熱湯」ですと苦労して手に入れた地位をすぐに失いかねません。また、力士に対して「熱湯」を求めるならば観客や視聴者も「熱湯」であるべきです。そのためにメディアやネットの意見に流されず、マナーをきちんと守った上で観戦してもらいたいものです。でないとフェアじゃない上に、分不相応です。

  2. Gonta より:

    私もこの案に似たことを考えています。
    現在、横綱大関で合計7人、大関に2人同部屋がいますので、大関以上の取組が1場所で合計20番組まれるわけです。
    ならば、その取組を終盤に固めずに、週末にかかっている初日・7日目・中日及び祝日該当日に数番ずつ分散させてみてはどうかなと。
    これによって、平幕の好成績者による割崩しが必要になる(=看板である大関以上の取組がなくなる)リスクが減少しますし、客の入りやすい休日に目玉の取組を入れることで観客も増えるのではないかと考えます。
    ただ、大関以上が大人数で中日勝ち越しということができにくくなるのが難点でしょうか。

  3. Nihiljapk より:

    >シリコンさん
    そうですね。
    リスク有る改正で有ることを認識し、
    仮に陥落が起きたとしてもそれは
    そのリスクゆえのものであるということを
    みている側が理解する必要が有ると思います。
    そして、見る側の品格問題というのは外せません。
    結果が出ないことに対して徒に厳しく接するのではなく
    なぜそれが起きているのか、ということや
    客観的に判断するための目を養い
    お互いに高めあう関係でありたいと思います。

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